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![まとめた髪を、ほどいた夜だった [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_d0a1ff0fa4784beda58daf63556aec8e~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_d0a1ff0fa4784beda58daf63556aec8e~mv2.webp)
![まとめた髪を、ほどいた夜だった [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_d0a1ff0fa4784beda58daf63556aec8e~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_d0a1ff0fa4784beda58daf63556aec8e~mv2.webp)
まとめた髪を、ほどいた夜だった [第1話/全4話]
【第1話】 コーヒーが来るより先に クアラルンプールの7時台は、すでに暑い。 ホテルの扉を出た瞬間から、空気の密度が変わる。 湿気と熱と、どこか植物の甘みを含んだ風。 初めてKLに来たのは10年以上前で、それからも仕事で何度か足を運んだ。 この空気に飽きたことは、一度もない。 フォーシーズンズ・クアラルンプールは、ツインタワーの足元に建っている。 ロビーの吹き抜けが高く、KLCC公園の緑が窓から見える。 ここを使うようになったのはKL支社のパートナーに紹介されてからで、それ以来、KL出張のたびに同じホテルを指定している。 慣れた場所で過ごす方が、余計なことに気を取られなくていい。 最初の打ち合わせは11時からだった。 午前中に3時間ある。 Feeka Coffee Roastersに向かったのは、KLCCからGrabで5分という理由だけだ。 ブキ・ビンタンのJalan Mesuiに店を構える、スペシャルティコーヒーを軸にしたカフェで、駐在員やクリエイター系の地元客に支持されている。 ラップトップを開いて黙々と仕事をする人間が多く、観光客の流れとは

GENPASS 編集 三好
4月24日


セブ島でナンパしたら展開が早すぎた話|クラブICONの夜、最後に気づいた違和感
まさか、こんな夜になるとは思っていなかった。 セブ島に来たのは、ただの現実逃避だった。 仕事に疲れて、彼女もいなくて、特に理由もなく航空券をポチった。 「海外行けばなんか変わるやろ」という、根拠ゼロの期待だけを持って飛行機に乗った。 着いてみたら何も変わらなかった。 飯はうまい。海はきれい。 でも夜9時、ホテルの部屋にて一人でYouTubeを見ている。 完全に旅行の無駄遣いだ。 そのとき、現地のナイトライフ動画が流れてきた。 「セブ島、クラブ行ったら普通にナンパできた」 再生回数、23万回。 「……行くか」 場所 Lot. 6 F. Cabahug St, Mabolo, Cebu City, 6000 Cebu, フィリピン 動機が不純すぎる。 でも人間なんてそんなもんだ。 マボロのクラブ「ICON」。 入場料200ペソ。 「安っ」と思いながらドアを開けた瞬間、 爆音のEDMとライトの洪水に飲み込まれた。 中に入ると、カップルだらけだった。 グループだらけだった。 一人で来ているのは、どう見ても俺だけだった。 「あ、完全にアウェイだ」 ビールを

GENPASS 匿名協力記者
4月22日
![年に4回、彼女はソウルを選ぶ [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_cb46551c781e436c8d814eaa77730893~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_cb46551c781e436c8d814eaa77730893~mv2.webp)
![年に4回、彼女はソウルを選ぶ [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_cb46551c781e436c8d814eaa77730893~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_cb46551c781e436c8d814eaa77730893~mv2.webp)
年に4回、彼女はソウルを選ぶ [最終話]
第4話「年に4回、彼女はソウルを選ぶ」 商談は、まとまった。 3日目の午後に、韓国側のパートナーとの合意が出た。 数字は向こうのペースに合わせた。 それがソウルのやり方だ。 押しすぎると引く。引きすぎると押してくる。 どこかで呼吸が合う瞬間がある。 そこを見逃さなければ、たいていうまくいく。 山田に報告を入れると「あとは詰めるだけです」と返ってきた。信頼できる部下がいると、出張の後半が楽になる。 帰国の便は翌日の昼だった。その夜、カナからLINEが来た。「仕入れ終わりました」とだけ書いてあった。 「うまくいきましたか」 「思ったよりいいものが見つかって」 「良かったです」 「明日帰りますか」 「昼の便で」 しばらくして「私は夜です」とメッセージが来た。 それ以上は来なかった。 俺も送らなかった。それで十分だった。 帰国した。 成田に着いて、電車に乗った。東京の湿度が肌に戻ってきた。 バンコクとは違う種類の密度がある。 ソウルの空気は乾いていて、それに慣れた体が、東京の空気を少し重く感じた。 窓の外に東京の景色が流れていた。 看板の密度、電線の本数

GENPASS 編集 三好
4月20日
![年に4回、彼女はソウルを選ぶ [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_9e62372625fe4f848bbcc8d1e0dd1783~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_9e62372625fe4f848bbcc8d1e0dd1783~mv2.webp)
![年に4回、彼女はソウルを選ぶ [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_9e62372625fe4f848bbcc8d1e0dd1783~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_9e62372625fe4f848bbcc8d1e0dd1783~mv2.webp)
年に4回、彼女はソウルを選ぶ [第3話]
第3話「장프리고の後」 장프리고(ジャンプリゴ)は、홍대(弘大)の路地を入ったところにある。 フランス語でfrigoは「冷蔵庫」を意味する。 その名の通り、コールドサーブにこだわったカクテルバーだ。 カウンターに8席。グラスが常に冷えていて、提供されるとき結露が出ない。 素材の温度管理を丁寧に行う、その仕事ぶりが空気に出ていた。 店内の光の入れ方が抑えめで、カウンターの上だけが明るかった。バーテンダーが二人、ほとんど話さずに動いていた。 俺はネグローニを頼んだ。18,000ウォン。 カンパリの苦みが、食後の胃に馴染んだ。鶏の出汁の余韻に、ジンの香りが重なった。 悪くない組み合わせだった。 カナは서울의 밤(ソウルの夜)というシグネチャーカクテルを選んだ。 韓国の焼酎ベースに、清酒と유자(ゆず)を合わせたもの。17,000ウォン。 透明に近い液体が、グラスの中で静かに輝いていた。一口飲んで、柔らかい顔をした。何も言わなかった。それでよかった。 「ネイル、自分でもするんですか」 カナが手を差し出した。 整った爪だった。 細い指の先に、ごく薄いベージュ

GENPASS 編集 三好
4月19日
![年に4回、彼女はソウルを選ぶ [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_2ceb61fda1454ac5803d9f0d710e41bc~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_2ceb61fda1454ac5803d9f0d710e41bc~mv2.webp)
![年に4回、彼女はソウルを選ぶ [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_2ceb61fda1454ac5803d9f0d710e41bc~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_2ceb61fda1454ac5803d9f0d710e41bc~mv2.webp)
年に4回、彼女はソウルを選ぶ [第2話]
第2話「火の調整」 朝食のとき、女は名前を言わなかった。 俺も名乗らなかった。でも帰り際にLINEを交換した。 彼女の方から「また来るかもしれないので」と言った。 俺は「またソウォンに来るかもしれないので」と返した。 カナ、と名前だけ教えてくれた。28歳。 東京でネイルサロンを一人でやっている。 ソウルに年4回来る。朝食の店に一人で入って、常連のスタッフと短い韓国語で話せる女だった。 午後の商談は2時間で終わった。 韓国側の担当者は話が早い。 数字をそのまま叩いてくる。 東南アジアの取引先とはテンポが違う。 ソウルの仕事は、直球が多い。 それが好きだ。夜、連絡を送った。「夜飯、どうですか」の一文だけ。 「どこですか」とすぐに返ってきた。 陳玉華ハルメ元祖タッカンマリ(진옥화할매원조닭한마리)。 종로区(鍾路区)수표동(水標洞)にある、創業数十年を超える鶏鍋の老舗だ。 地元の常連が多い。 観光客が来るようになったのは比較的最近だが、店の空気はまだ変わっていない。 カウンターで注文して、鍋が来たら自分で火を調整する。 닭한마리(ダッカンマリ)。丸鶏一

GENPASS 編集 三好
4月18日
![年に4回、彼女はソウルを選ぶ [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_dd5c238c45074bf6b2ad885daf86761b~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_dd5c238c45074bf6b2ad885daf86761b~mv2.webp)
![年に4回、彼女はソウルを選ぶ [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_dd5c238c45074bf6b2ad885daf86761b~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_dd5c238c45074bf6b2ad885daf86761b~mv2.webp)
年に4回、彼女はソウルを選ぶ [第1話/全4話]
第1話「瑞源の朝」 ソウルに来るのは、3回目だった。 Four Seasons Hotel Seoul。光化門のすぐ近くに建つ、このホテルにしてから出張の動き方が変わった。 ロビーの天井が高く、韓国の古建築をモチーフにしたデザインが落ち着いている。 朝に窓から景福宮の屋根が見える。東京のビジネスホテルとは、その点だけが根本的に違う。 宮殿が見える部屋で商談の資料を開く。 その感覚が、俺は嫌いじゃない。 仕事の場所として使っているのに、どこか旅の気分が抜けない。 それがソウルという街の質だと思っている。 仕事は昨日から始まっていた。 韓国側の取引先との打ち合わせが一日続いて、今日の午前中は間がある。 午後2時にアポが入っていたが、朝は空いていた。 同僚から教えてもらった店に行ってみることにした。 「ソウルに来たら絶対行け、でも場所はわかりにくい」という話だった。 そういう説明で薦めてくる人間の店は、たいていハズれない。 종로구(鍾路区)の路地を少し入ったところにある、瑞源(ソウォン)という食堂だ。 看板が小さい。 知らなければ通り過ぎる。...

GENPASS 編集 三好
4月17日


フードコート置屋 クアラルンプール
クアラルンプールで、 とあるフードコートでメシ以外に「春」を売っている といううわさを聞き場所を探していた。 大通りを外れ、暑さで思考が止まりかけた頃 民家のようなところで急に、ちょうどいい感じのローカルフードコートを見つけた。 木のテーブルに、白いプラスチックの椅子。 天井はトタン屋根で、大きなファンがゆっくり回っている。 どこにでもある、あの感じ。 とりあえず中に入って座って、飲み物でも飲みながらスマホで捜索しようと考えていた。 場所 このあたりだったかと思う 椅子に座って、一息ついていたら数人の女の子がこっちを見ている。 フードコート内は何やら地元のカラオケ大会みたいなのが始まっている。 そして、注文でも取りに来るかのように女の子が近づいてくる。 近い。距離が近い。 東南アジア特有の、あの“パーソナルスペースを無視してくる距離”。 ベトナム語っぽい言葉と、インドネシア語っぽい言葉で話しかけてくる。 英語も混ざるけど、正直ほぼ分からない。 よくわからないので、女の子の顔を見ていると 向こうもこっちを見ている。いや、見すぎだろ。...

GENPASS 編集 八田
4月14日
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_d501f4e98b6a4f96a0e28da1f53de4fa~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_d501f4e98b6a4f96a0e28da1f53de4fa~mv2.webp)
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_d501f4e98b6a4f96a0e28da1f53de4fa~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_d501f4e98b6a4f96a0e28da1f53de4fa~mv2.webp)
彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [最終話]
第4話「一週間と、もう少し」 商談は、うまくいった。 3日間の打ち合わせで、タイ側のパートナーとの合意が取れた。 数字はまだ詰める余地があったが、方向性は固まった。 日本から持ってきた提案書の骨格は変わらなかった。 細部の調整は向こうのペースに合わせる必要があったが、それはいつものことだ。 山田に報告の連絡を入れると「お疲れ様でした、あとは任せてください」と返ってきた。 そういう頼り方ができる部下がいると、出張の後半が楽になる。 信頼できる部下がひとりいれば、出張の質が変わる。 バンコクにいる間、ユイと3回会った。 2回目は、商談が終わった翌日の夜だった。 彼女から「スクンビットに安くて美味しいタイ料理の店を見つけた」と連絡が来た。 テーブルが4つしかない、路地裏の食堂だった。 プラスチックの椅子に、ラミネートのメニュー。 観光客は誰もいない。パッタイが120バーツ。グリーンカレーが150バーツ。 旅慣れていないはずのユイが、一日で見つけてきた店だった。 食堂のおばさんがタイ語で何か言いながら、勝手に料理を持ってきた。 ユイは「たぶん、今日のおす

GENPASS 編集 三好
4月13日
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_8dfea1d39ef14d7784de64faf07f3500~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_8dfea1d39ef14d7784de64faf07f3500~mv2.webp)
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_8dfea1d39ef14d7784de64faf07f3500~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_8dfea1d39ef14d7784de64faf07f3500~mv2.webp)
彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第3話]
第3話 「Hotel Nikko、22階」 Tichucaを出たのは、22時を過ぎたころだった。 エレベーターを降りて、T-ONE BUILDINGのエントランスに出ると、スクンビットの夜気が包んできた。 日本の夏よりも、少しだけ重たい空気だ。 湿度が肌に張り付く感じがある。 それでも不快というほどではない。 バンコクの夜の空気には、独特の緩さがある。 東京の夜にはないものだ。 「どっちに帰りますか」とユイが言った。 「Hotel Nikkoの方向です」 「私も、そっちです」 並んで歩き始めた。会話はなかった。 スクンビット通りの喧騒が、二人の沈黙を埋めていた。 バイクタクシーのエンジン音。屋台の油の匂い。 呼び込みの声。タイ語と英語が混ざった音が、夜道に流れていた。 バンコクの夜は、音と匂いで出来ている。 それに慣れてくると、東京の静けさが物足りなくなる。 4回目でもそう感じるんだから、長く住んだらどうなるかわからない。 ユイは横を歩きながら、あまり周囲を見ていなかった。 下を向いているわけではなく、ただ視線が内側に向いていた。...

GENPASS 編集 三好
4月12日
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_1e2cd95454b6455b882cdce5eb8cc6df~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_1e2cd95454b6455b882cdce5eb8cc6df~mv2.webp)
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_1e2cd95454b6455b882cdce5eb8cc6df~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_1e2cd95454b6455b882cdce5eb8cc6df~mv2.webp)
彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第2話]
第2話 「Tichuca、46階」 エレベーターを降りると、視界が一気に広がった。 Tichuca Rooftop Bar。 46階のオープンエア。スクンビットの夜景が、360度広がっていた。 BTSの線路が光の帯になって南北に走っている。 バンコクのビル群が、霞みを帯びた夜空の下に広がっていた。 東京の夜景とは質が違う。東京は整然としている。 バンコクは、整然とした部分と雑然とした部分が混在していて、その境目が夜になるとわからなくなる。 ライトアップされたビルの隙間に、薄暗い路地が続いている。 その対比が、バンコクの夜を面白くしている。 席に案内された。テラス席の端。二人掛けのテーブルだった。 「どうぞ」と俺が言うと、吉田ユイは少し迷ってから座った。 一人で来る予定だったんだろう。 それが、エントランスで俺と鉢合わせた。 その状況を、彼女はまだ整理できていない。 そういう顔をしていた。でも断ろうとはしていなかった。 ひとりで夜景の前でグラスを持つよりも、見知らぬ日本人と並ぶ方を選んだ。 それが何を意味するかは、まだわからない。 メニューを開いた

GENPASS 編集 三好
4月11日
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_de2802860cfe40b0b54d87e47350e5e8~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_de2802860cfe40b0b54d87e47350e5e8~mv2.webp)
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_de2802860cfe40b0b54d87e47350e5e8~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_de2802860cfe40b0b54d87e47350e5e8~mv2.webp)
彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第1話/全4話]
第1話 「T-ONEのセキュリティ」 バンコクに来るのは、これで4回目だった。 スクンビットはいつも人が多い。 BTS沿いのこのエリアは、昼も夜も温度が変わらない。 喧噪は変わらない。変わるのは、やって来る人間の顔つきくらいだ。 昼は働いている顔。夜は何かを求めている顔。 その境界が、バンコクでは特に曖昧に見える。 夜になっても昼の顔をしている人間がいる。 昼のうちから夜の顔をしている人間もいる。 そのへんが、東京とは根本的に違う。 東京は昼と夜の切り替えが明確で、どちらの顔をすべきか、誰もが心得ている。 バンコクはそのルールがゆるい。 それが、この街を面白くしていると同時に、危うくもしている。 ホテルはスクンビット通り沿いのHotel Nikko Bangkokにした。 去年の出張で初めて使ってみて、悪くなかった。 ロビーの作りが日系ビジネスホテルにしては広い。 スタッフの対応が丁寧で、立地がBTSアソーク駅から徒歩圏内。 商談の前日に着いて、翌朝から動ける。 そういう使い方にちょうどいいホテルだ。 チェックインを済ませると、部屋は22階だった

GENPASS 編集 三好
4月10日


グランドリスボア マカオ
マカオに着いた瞬間、空気が違った。 香港からフェリーで1時間。港を出たらタクシーの運転手が何も聞かずにカジノエリアへ向かった。 行き先を伝えていない。 なのにハンドルは迷いなくカジノの方角を向いている。 つまりこの街に来る人間の目的なんて、聞くまでもないということだ。 窓の外に、蓮の花の形をしたビルが見えた。グランドリスボア。夕暮れの空に金色の光が灯り始めている。 東京で言えば歌舞伎町のネオンに近い。ただしスケールが違う。ビル一棟がまるごと光っている。 タクシーの運転手がバックミラー越しにニヤッと笑った。 「あそこだろ?」みたいな顔。 うるせえ。そうだよ。 場所 グランドリスボア Avenida de Lisboa, Macau 入口で、いきなり止められる カジノの入口でスーツのセキュリティに腕を出された。 「パスポート」 マカオのカジノは21歳以上。日本人は若く見られるから、ほぼ確実に止められる。 パスポートを見せたら生年月日を二度見された。これからマカオに行く人に一つだけ言っておく。パスポートは絶対に持って行け。 ないと入口で追い返される。.

GENPASS 匿名協力記者
4月7日
![なんとなく、台北行きにした [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_94935add6a4b4aefaa92749a401d2489~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_94935add6a4b4aefaa92749a401d2489~mv2.webp)
![なんとなく、台北行きにした [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_94935add6a4b4aefaa92749a401d2489~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_94935add6a4b4aefaa92749a401d2489~mv2.webp)
なんとなく、台北行きにした [最終話]
【第4話】高雄の午後 商談は、うまくいった。 正確には、うまくいきすぎた。10時に始まって、11時半には合意の方向が見えた。3ヶ月越しの交渉が、この日の90分でほぼ決着した。こういうことが、たまにある。積み上げてきた時間が、ある瞬間に一気に収束する。 ホテルに戻ったのが12時10分だった。 スーツのジャケットを脱いで、ナツキにメッセージを入れた。 「終わった。どこにいますか」 「愛河のあたりをぶらぶらしてます」 「今から行く」 「え、はや」 12時半に合流した。 8月の高雄の昼は、容赦がない。日差しが刺さってくる。ナツキは白いワンピースに着替えていた。朝のTシャツとは違う、少し大人っぽい印象だった。見た目は童顔なのに、こういう選択をする。そのギャップが、31歳という年齢を時折のぞかせる。 川沿いの麺の店で昼飯を食べた。 ルーローハンを頼んだ。ナツキは牛肉麺を頼んで、「これ台湾来たら絶対食べたかったやつ」と言った。食べながら話した。仕事のこと。なぜ一人で台湾に来たのか。どこに住んでいるのか。 「彼氏は」と俺が聞いた。 「・・・いないです」 間があっ

GENPASS 編集 三好
4月6日
![なんとなく、台北行きにした [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_9160abb7e74648b9abf79c49abcc4071~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_9160abb7e74648b9abf79c49abcc4071~mv2.webp)
![なんとなく、台北行きにした [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_9160abb7e74648b9abf79c49abcc4071~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_9160abb7e74648b9abf79c49abcc4071~mv2.webp)
なんとなく、台北行きにした [第3話]
【第3話】乳酪餅の朝 翌朝6時半に目が覚めた。 商談は10時からだ。準備には2時間もあれば足りる。シャワーを浴びて、ホテルの外に出た。高雄の朝は早い。7時前でも街が動いている。屋台が開いていて、スクーターが走っていて、どこかから油の香りが漂ってくる。 早餐店を探した。 台湾の早餐文化を知らずに台湾旅行を終えるのは、もったいないと俺は思っている。ホテルのビュッフェより、街角の早餐店の方がずっといい。地元の人間が並んでいる列に黙って加わって、熱々のものを受け取る。その朝の10分が、旅の質を変える。 「乳酪餅」を頼んだ。 パイ生地の中に、パン、チーズ、卵を挟んだものだ。一口噛むと、バターの香りが鼻を抜けて、チーズがとろける。カロリーの暴力みたいな食べ物だが、これを食べると、その日一日やれる気がする。30元前後。日本円で150円ほど。この金額で、この満足感。台湾の朝食が最強と言われる理由が、一口でわかる。 観光客向けのカフェのモーニングに1500円払うより、この早餐店の乳酪餅を150円で食べる朝の方が、旅としての密度が高い。これは断言できる。 場所を知っ

GENPASS 編集 三好
4月5日
![なんとなく、台北行きにした [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_dd4e32f1933843d085fd9bbf12ee43a0~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_dd4e32f1933843d085fd9bbf12ee43a0~mv2.webp)
![なんとなく、台北行きにした [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_dd4e32f1933843d085fd9bbf12ee43a0~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_dd4e32f1933843d085fd9bbf12ee43a0~mv2.webp)
なんとなく、台北行きにした [第2話]
【第2話】ほくろの位置 声をかけたのは、食後のドリンクを取りに立ったときだった。 作戦でも何でもない。彼女の隣のドリンクバーに手を伸ばしたとき、目が合っただけだ。向こうも同じタイミングで立っていた。 「日本の方ですか」 俺が先に言った。 「・・・あ、はい」 少し驚いた顔をした。でも、嫌そうではなかった。それだけで十分だった。 「一人ですか」 「そうです。旅行で」 「高雄、何日目ですか」 「今日で3日目です。明日移動で」 テンポよく返ってくる。壁を作っている感じがない。俺は自分の席に戻りながら、「美味しいですよね、ここ」と言った。 「めちゃくちゃ美味しいです」 彼女が言った。 声に屈託がなかった。「めちゃくちゃ」という言葉が、童顔の見た目と妙に合っていた。俺は自分の席に戻って、コーヒーを一口飲んだ。 次の手を考えた。 同じ店に一人でいる、という共通点がある。これは使える。「一人飯の連帯感」みたいなものを、女は意外と持っている。特に海外での一人行動に慣れている女は、同じ状況の人間に対して開きやすい。 俺は席を立って、彼女のテーブルに近づいた。 「隣、

GENPASS 編集 三好
4月4日
![なんとなく、台北行きにした [第1話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_52e6bf98f7db45859758518a3f93980e~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_52e6bf98f7db45859758518a3f93980e~mv2.webp)
![なんとなく、台北行きにした [第1話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_52e6bf98f7db45859758518a3f93980e~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_52e6bf98f7db45859758518a3f93980e~mv2.webp)
なんとなく、台北行きにした [第1話]
【第1話】商談前夜の高雄 台湾南部に来るのは、これで4回目だった。 高雄は台北とは空気が違う。台北が東京なら、高雄は大阪に近い。人の距離が近くて、夜が長い。出張で来るたびに、この街が少し好きになっていく。 明日は午前10時から商談が入っている。相手は現地の自動車部品メーカー。3ヶ月越しの交渉がようやく佳境に入ってきた。今夜は早めに切り上げて、明日に備えるつもりだった。 つもりだった、というのが正確な表現だ。 ホテルで着替えてから、一人でディナーに出た。山田がいれば適当な店に連れていくのだが、今回は一人だ。せっかくなら、と思って調べておいた店に向かった。「小時厚牛排」。高雄・台南・屏東にしか存在しない、ローカルのステーキチェーンだ。 店に入ると、広い。思ったより広かった。 清潔感があって、エアコンが効いている。8月の高雄の夜は夜でも30度を超える。その熱気を完全に遮断した店内で、熱々の鉄板ステーキを食べる。この対比だけで、すでにこの店に来た意味がある。 チキンステーキを頼んだ。 300元。日本円で1500円ほど。この金額で、メインのステーキにライス

GENPASS 編集 三好
4月3日


「28 HongKong Street」を潜った夜、僕は「本物」の洗礼を浴びた
シンガポールの夜は、粘りつくような湿気とともに更けていく。 ビジネスミーティングを終え、まとわりつく熱帯の空気に辟易しながら、僕はタクシーに乗り込んだ。 「どこへ行くんだ?」と運転手がバックミラー越しに聞いてくる。 「28 HongKong Street」と告げると、彼はニヤリと笑った。「 旦那、いい趣味しているね 。だが、通り過ぎても文句言うなよ。あそこには看板がないからな」 そう、今夜僕が目指すのは、単なるバーではない。アジアのバーシーンを牽引し続ける伝説の店、 『28 HongKong Street』 だ 。 廃墟? それとも倉庫? 試される「入る勇気」 タクシーが停まったのは、 ショップハウスが立ち並ぶ薄暗い通り だった。 「ここだよ」と言われて降りたものの、目の前にあるのは古びたベージュ色の壁だけ。 煌びやかなネオンもなければ、客引きの黒服もいない 。「28 Hongkong St」という住所だけを頼りに目を凝らすと、扉の脇に小さく、本当に申し訳なさそうに 「28」 という数字が書かれているのを見つけた 。 「本当にここか…?」...

GENPASS 匿名協力記者
2月21日


Orion Sauna(オリオン・サウナ)パタヤ
入口の看板 ――ナイトクラブじゃない。“静かな密度の濃い夜”が待つ場所。 パタヤは夜遊びスポットが多い。ウォーキングストリートのド派手なネオン。ビーチロードのガヤガヤした賑わい。どれも“土俵”は分かりやすい。 だが、 Orion Saunaはその隣の次元にある。 名前だけ聞くと、「フィットネスっぽいサウナ?」って思うかもしれない。 もちろん、純粋にサウナやマッサージの利用のみも可能だが 実際に足を踏み入れた瞬間、思考は夜遊びモードに切り替わる。 マカオ式サウナ。 この新たなスタイルが、タイの他の夜遊びと根本的に違う。 場所 スクンビット通り沿いにある 外観と入店 スクンビット通り沿いの2025年11月まで空き家だったところに Orion Sauna がグランドオープン。ゴールドカラーの入口のドアも含めて、金と白でできあがった 宮殿のような外観 。 入店してからの空気は、また一段落ち着いている。きれいで広い通路を通り右側にロビーがあるので 受付で説明を受ける 。価格等については後ほど記載する。基本的には風俗なので、 男性のみが利用可能 。...

GENPASS 編集 八田
2月9日


Midnight Haven(旧LA Café)マニラ
店前外観 ――店に入る前の5メートルが、一番ヤバい。 まず言っておく。この店、中の話をする前に“外”の話をしないと始まらない。 場所はエルミタ地区。マラテよりさらに生々しい、マニラの裏側が凝縮されたエリアだ。 場所 1429 Del Pilar St, Ermita, Manila, 1000 Metro Manila, フィリピン 入店前の5m付近の危険 タクシーを降りた瞬間。いや、正確に言うと――降りてから店に入るまでの5メートル。 ここが一番危ない。降りた瞬間にスられる、店に入る直前で囲まれる、帰りにタクシーを捕まえた瞬間を狙われる。全部、実際に起きている話だ。 「え、そんな大げさな」と思うかもしれないが、俺が行ったときはそうだった。ここは本気で言っている。 何が起きても不思議じゃない。 だから最初の鉄則はひとつ。スマホを出すな。財布を見せるな。周囲をキョロキョロするな。格好悪かろうが荷物を前に持て。無表情で、一直線に入口へ行け。 これができないと、Midnight Havenのスタートラインにすら立てない。 Café店内へ...

GENPASS 編集 伊達
2月6日


士林夜市のディープな楽しみ方
― 夜市を「観光」で終わらせる男は、まだ台湾を知らない ― 台湾といえば夜市。夜市といえば士林夜市。 ここまでは誰でも言う。だがな―― 士林夜市は、可愛い屋台を冷やかす場所じゃない。 ここは、「人、熱気、匂い、欲」が全部ぶつかる、 夜のカオス だ。 士林夜市ってどこだ? 場所 台北市士林区 MRT「剣潭駅」から徒歩すぐ。駅出た瞬間、もう逃げ場はない。 人、人、人。観光客、地元民、カップル、家族、酔っ払い。 全員同じ熱に包まれる。 士林夜市は「夜のテーマパーク」じゃない 屋台を見て、写真撮って、小籠包や胡椒餅食って、北投紅茶飲んで帰る それ、 士林夜市の1割 。だからおいしかった店などは紹介しないぞ! 本番は、腹が8分目を超えたあと、そしてたくさんの人に慣れたあと 夜が深くなった頃、ここからが ディープゾーン だ! エリア①|地下美食街(胃袋を壊しに来い) 住所目安 台北市士林区 大東路・文林路周辺(地下) ここは何がヤバい? まず出会うのが、ローカル飯の暴力。油・炭水化物・肉の三連打。 身体の若さを試される。相当、胃が強くないと胃もたれする。俺が

GENPASS 編集 八田
1月18日
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