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![気づいたら片想い [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_3461264eb54b4fc28b09474e9f431136~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_3461264eb54b4fc28b09474e9f431136~mv2.webp)
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気づいたら片想い [最終話]
【最終話】 気づいたら片想い 朝のバルセロナは、夜より正直だ。 ライアが連れていったのは、Gràciaの路地にある小さなバルだった。 カウンターには地元の男が二人、無言でコーヒーを飲んでいた。 テレビでニュースが流れていた。 誰も俺たちを気にしなかった。 「パンコントマテ、食べたことある?」 「ないです」 トマトをすりおろしたものが、バゲットの表面に塗られて出てきた。 オリーブオイルと塩。それだけだった。 素朴な見た目で、口に入れると旨みが先に来て、酸味が後に来た。 「地味ですね」 「バルセロナはそういうところ」 「外から見ると派手に見えます」 「外から見ると——ね」 ライアはそこで止めた。 続きを言わなかった。 俺が外から見ているだけだ、ということだった。 ライアがコーヒーを飲んだ。 砂糖を入れなかった。 カウンターのおじさんたちはテレビのニュースを見ながら小声で喋っていた。 スペイン語が聞き取れないが、声の間合いでおよそのことはわかった。 「3回目なのに、まだ知らないものがあります」 「何回来ても変わる街だから」 「連れてくる人間が変わるから

GENPASS 編集 三好
8月3日
![気づいたら片想い [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_4b7892b97b5e4fffa1b7b934e7bd5e8b~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_4b7892b97b5e4fffa1b7b934e7bd5e8b~mv2.webp)
![気づいたら片想い [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_4b7892b97b5e4fffa1b7b934e7bd5e8b~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_4b7892b97b5e4fffa1b7b934e7bd5e8b~mv2.webp)
気づいたら片想い [第3話]
第3話 朝が来る前に ロビーは静かだった。 深夜のMandarin Orientalは、昼間と別の顔をしている。 大理石の床に、照明が低く落ちていた。 コンシェルジュが遠くで頭を下げた。 俺が後から入ると、ライアはすでにエレベーターホールの前に立っていた。 扉が開いた。 中に入った。鏡に二人が映った。 ライアは正面を向いていた。 俺も正面を向いた。 「まだゲームをしてる気?」 ライアが鏡越しに俺を見た。 「してますよ」 「嘘くさい」 「どうしてですか」 「こんなところに来るのに、ゲームしてる人はいない」 「してますよ、俺は」 ライアが少し笑った。 鏡の中で笑っていた。 「じゃあ、どっちが先に負けるか見ててあげる」 扉が開いた。 部屋に入ると、ライアは真っ直ぐ窓へ向かった。 Passeig de Gràciaのアヴェニューが光の線になって、遠くまで続いていた。 Gaudíの建物のシルエットが夜に浮かんでいる。 バルセロナの夜景は、東京より派手さがなく、それが却って綺麗だった。 「広いじゃない」 ライアが言った。 「言ったでしょう」 「答えなかったく

GENPASS 編集 三好
8月2日
![気づいたら片想い [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_55fc2143e69d43968bd5cb3452eb4bf4~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_55fc2143e69d43968bd5cb3452eb4bf4~mv2.webp)
![気づいたら片想い [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_55fc2143e69d43968bd5cb3452eb4bf4~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_55fc2143e69d43968bd5cb3452eb4bf4~mv2.webp)
気づいたら片想い [第2話]
第2話 見た目と中身の話 約束は午後2時だった。 El Born地区の路地の入り口。 ライアが指定した角に俺が着いたのは、1分前だった。 ライアはもういた。 「遅い」 石畳に足をついて立っていた。 白いリネンのシャツ、細身のパンツ。 昨日の制服とも、バーで見た私服とも違う。 「定時ですよ」 「私が10分前から来ていただけ」 言ってしまったのだ。 10分前から来ていた、という事実を。自分から。 俺は何も言わなかった。 ライアも気づいたようで、一瞬だけ目を細めた。 「行きましょう」 先に歩き出した。 ゴシック地区の路地は細い。 石畳が続いて、壁がせり出して、空が少ししか見えない。 観光客の声がいくつかの言語で飛んでくる。 ライアは迷わず歩いた。 この街が体に入っている人間の歩き方だった。 前を向いたまま、ライアが言った。 「バルセロナ、好きになった?」 「まだわかりません」 「3日目でしょ」 「知れば知るほどわからなくなる場所が、あります」 ライアが横目で俺を見た。 1秒だけ。 「それ、バルセロナの話?」 「バルセロナの話です」 「そう」 ライアがそ

GENPASS 編集 三好
8月1日
![気づいたら片想い [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_cab8c005efab476d8b70f6da86159982~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_cab8c005efab476d8b70f6da86159982~mv2.webp)
![気づいたら片想い [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_cab8c005efab476d8b70f6da86159982~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_cab8c005efab476d8b70f6da86159982~mv2.webp)
気づいたら片想い [第1話 / 全4話]
【第1話】 誰の手も読んでいる女 バルセロナに来る理由が仕事であることに、誰も疑いを持たない。 SEAT本社とのEV部品商談 ——正確にはCupraの新型モデルに搭載するモーター周辺部品の調達先をアジアに移す話だ。 3日間の出張で、午前は会議、午後は工場確認か資料作業、夜は自由だった。 自由、というのが曖昧な言葉だと思う。 3日目の夜、俺はカジノにいた。 前夜にFCバルセロナが試合に勝ったらしく、Port Olímpicあたりのバルはまだどこか浮かれた空気が残っていた。 そういう街の熱から少しだけ離れたくなって、Casino de Barcelonaに足を向けた。 人が多い場所より、ルールだけで支配された静けさの方が落ち着く夜がある。 ブラックジャックのテーブルに着いた。 ディーラーが、カードを切っていた。 最初に見たのは顔じゃなく、手だった。 無駄がない。速い。力を使っていない。 感情を排除した、というより——感情を使う必要がないことを知っている手の動きだった。 見上げると、目が合った。 ディーラーは、1秒も無駄にしなかった。 日本人。ビジネス

GENPASS 編集 三好
7月31日


Factory Air-Show Girls Discoteca マドリード
マドリードの中心部を離れ、空港方面へ向かう。 観光客であふれるグラン・ビアの華やかさは、いつの間にか車窓の後ろへ消えていた。 通りを歩く人は減り、建物の間隔は広くなり、夜の景色が急に無口になる。 こんな場所に、本当に女の園があるのか。 Googleマップを何度も確認しながら進んでいくと、暗闇の中に巨大なネオンが現れた。 「Factory Air-Show Girls Discoteca」 マドリードの空港に近いエリアにある、ホテル併設型の大人向けディスコだ。 場所 フロアにはランジェリー姿の女性たちが歩き回り、 気に入った相手と話がまとまれば、その女性が利用している部屋へ移動する。 そこで何が行われるかは、説明するまでもない。 店名にはFactoryとある。 美女を大量生産する工場なのだろうか。 俺は期待に胸を膨らませ、自動ドアをくぐった。 店内へ入った瞬間、結論が出た。 アスリート村だ。 背の高い女。 引き締まった女。 腹にうっすら筋肉の線が入った女。 ランジェリー姿の女性たちがフロアを歩き、 男を見つけるたびに笑顔で近づいていく。 褐色の女性

GENPASS 編集 八田
7月30日


New Girls Cabaret マドリード
スペイン、マドリードの夜は、始まる時間がおかしい。 夜10時。 日本なら、そろそろ帰りの電車を気にし始める頃だが、グラン・ビアにはまだ昼間のように人がいる。 劇場の巨大な看板が光り、バルのテラスではワインを飲み始めたばかりの男女が笑っている。 こいつら、今日中に帰る気がない。 俺も人のことは言えない。 観光客が行き交う大通りから少し外れ、Calle de la Flor Bajaという細い通りを歩いていた。 目的地は「New Girls Cabaret」 マドリード中心部にある老舗のストリップクラブだ。 場所 表向きは、酒を飲みながら女性のダンスを楽しむ店。 ただ、事前に調べた限りでは、ダンスは前菜に近いらしい。 女性と話がまとまれば、ステージ横の階段を上り、2階の個室へ行く。 つまり、ストリップクラブの顔をしているが、客の多くが見たいのはステージの上ではない。 階段の上だ。 店内へ入ると、中央にはポールの立ったステージがあり、その周囲に椅子とテーブルが並んでいた。 赤と紫の照明。 奥にはバーカウンター。 そしてステージの横には、暗い2階へと伸び

GENPASS 編集 八田
7月28日
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