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![あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_4a23e32c6cfb42aea56ce5ab3358ec18~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_4a23e32c6cfb42aea56ce5ab3358ec18~mv2.webp)
![あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_4a23e32c6cfb42aea56ce5ab3358ec18~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_4a23e32c6cfb42aea56ce5ab3358ec18~mv2.webp)
あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [最終話]
【最終話】 あの日 僕は咄嗟に嘘をついた カーテンの隙間から光が入っていた。 三好は天井を見ていた。 隣は空いていた。奈緒はもう帰っていた。 テーブルの上に、グラスが2つ残っていた。 どちらも、ほとんど飲んでいなかった。 そのそばに、白い封筒。 コーヒーをルームサービスで頼んだ。 届くまでの間、窓の外を見ていた。 Piazza San Carloに朝の光が落ちていた。 人がまだ少なかった。 コーヒーが届いた。 封筒を手に取った。 ゆっくりと開けた。 ユキの字だった。日付は3週間前だった。 「この手紙を読んでいるってことは、私が緊急事態で対応できていないということだね。 きっとあなたのことだからマリーニ社との商談、うまくやってくれたよね。」 書き出しはそんな感じだった。 それからUSBの中身についての説明が続いた。 品質検査データの改ざん、財務書類の写し。 三好の会社が被害を受ける前に動いてほしかった、と。 ここまでは予想の範囲だった。 最後の行を読んだ。 「奈緒に頼んだのは、あなたを信じているから。 2人とも、もうこの件には関わらないでほしい。奈

GENPASS 編集 三好
8月10日
![あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_ee21fa3c045742b3876c6ee35c112fc4~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_ee21fa3c045742b3876c6ee35c112fc4~mv2.webp)
![あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_ee21fa3c045742b3876c6ee35c112fc4~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_ee21fa3c045742b3876c6ee35c112fc4~mv2.webp)
あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [第3話]
【第3話】 その封筒を、まだ開けていなかった 奈緒が取り出したのは、白い封筒だった。 宛名は書いていなかった。 受け取ると、しっかりとした紙の重さがあった。 「姉の字です。一人で読んでほしい、と言われていて」 「今夜は、まだ読まなくていいですか」 奈緒は少し考えてから、頷いた。 三好は封筒をスーツの内ポケットに入れた。 雨の石畳に水が流れていた。 タクシーを呼ぼうとしたが、奈緒は動かなかった。 三好も動かなかった。 「ヴェルムートが飲みたくなりました」 「この時間にですか」 「Piazza Castelloのあたりに、良い店があります」 奈緒は少し間を置いた。 「少しだけなら」 Caffè Mulassano——Piazza Castello 15。1907年創業。 Piazza Castelloに面したアーケードの奥、引き戸を開けると12席ほどの空間が現れる。 腰板張りの壁、古いミラー、真鍮のシャンデリア。 バーカウンターはわずか4席だった。 トリノはヴェルムートの発祥地だが、この店はその歴史の端に必ず名前が出てくる。 Punt e Mes(€

GENPASS 編集 三好
8月9日
![あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_62b4e2f47b844b5899b8d6ce9ab0a984~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_62b4e2f47b844b5899b8d6ce9ab0a984~mv2.webp)
![あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_62b4e2f47b844b5899b8d6ce9ab0a984~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_62b4e2f47b844b5899b8d6ce9ab0a984~mv2.webp)
あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [第2話]
【第2話】 嘘をついたまま、笑ってみせた デル・カンビオを出た後、タクシーを拾う気にはなれなかった。 ホテルまで歩いた。 Via Romaのアーケードを抜け、Piazza San Carloに出た。 噴水の周りにまだ人がいた。 カップルが広場を横切っていた。 どこかのカフェから笑い声が漏れていた。 何も目に入らなかった。 「ユキといいます」 奈緒の声が、頭の中に残っていた。 ユキには妹がいたのか。 そういえばユキは家族の話をほとんどしなかった。 俺も聞かなかった。 どちらも悪かったかもしれない。 部屋に戻ったのは23時過ぎだった。 スーツのジャケットを椅子に掛け、PCを開いた。 USBを差した。 フォルダが3つあった。 最初のフォルダは品質検査データだった。 型番ごとに、最終検査の数値と出荷記録の数値が並んでいた。 列を横に見ていくと、食い違っていた。 10から15%程度、系統的にずれていた。 偶然の誤差では説明がつかない数値だった。 2つ目のフォルダには内部承認の書類が入っていた。 「改定版 承認済」のスタンプがあった。 組織的だ、と直感した。

GENPASS 編集 三好
8月8日
![あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_eed669bce2e14e109975ed84ea860386~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_eed669bce2e14e109975ed84ea860386~mv2.webp)
![あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_eed669bce2e14e109975ed84ea860386~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_eed669bce2e14e109975ed84ea860386~mv2.webp)
あの日 僕は咄嗟に嘘をついた [第1話 / 全4話]
【第1話】 誰かの代わりに、会いに来た トリノには何度か来ていた。 だが、今回は少し違った。 翌日、マリーニ社本社との商談が控えていた。 自動車部品の長期供給契約——会社にとっては数十億規模の案件だった。 準備は万全だった。 それだけのために来たはずだった。 それだけじゃなかった。 ミラノ・マルペンサ空港からフレッチャルジェント号で トリノ・ポルタ・ヌォーヴァ駅に着いたのが午後4時過ぎだった。 Grand Hotel Siteaまでタクシーで10分。 Piazza San Carloの裏に建つ5つ星ホテルは、今回で3度目だった。 チェックインを済ませ、荷物を置いた。 窓からPiazza San Carloの石畳が見えた。 夕方の光の中で、広場はどこか舞台のように静かだった。 スーツのまま部屋を出た。 ユキから連絡が来たのは3日前だった。 「会えますか。商談の前日に、トリノで」 10年以上ぶりだった。 別れを切り出したのはユキの方だった。 俺は何も言わなかった。 言えなかったのかもしれない。 なぜ今なのか、なぜ俺がトリノに来ることを知っているのか—

GENPASS 編集 三好
8月7日
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