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![偶然を言い訳にして [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_2dfad731f3de4c2e87d76b4e9d14b1ec~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_2dfad731f3de4c2e87d76b4e9d14b1ec~mv2.webp)
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偶然を言い訳にして [最終話]
【最終話】 偶然を言い訳にして 三好が先に目を覚ました。 カーテンの隙間から、白い光が入ってきた。 プノンペンの朝は早い。 陽菜はまだ眠っていた。 三好はしばらく、天井を見た。 昨夜のことを振り返るつもりはなかった。 今日やることが、ある。 シャワーを浴び、スーツを着た。 陽菜が目を覚ましたのは、 三好がコーヒーを飲み終えた頃だった。 陽菜は洗面所へ行き、少しして戻ってきた。 顔を洗っただけで、化粧道具は何もなかった。 「久しぶりに、ぐっすり眠れました」 と陽菜は言った。 「安心したからかもしれないです」 「本番はこれからだ」 「分かってます」 「行けるか?」 陽菜はうなずいた。 昨夜より顔の色が違った。 2人はホテルを出て、大通りを避けながら路地を選んで歩いた。 BKK1の朝の空気は涼しかった。 三好が前に立ち、交差点のたびに角から先を覗いてから進んだ。 追ってくる気配はなかった。 陽菜は三好の後ろを、黙ってついてきた。 昨夜と同じ人間とは思えないほど、足元が落ち着いていた。 大使館まであと数ブロック。 路地が途切れ、ノロドム通りの大通りに出る

GENPASS 編集 三好
2 時間前
![偶然を言い訳にして [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_559e5a2274fa4a15942f896fba73ae3c~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_559e5a2274fa4a15942f896fba73ae3c~mv2.webp)
![偶然を言い訳にして [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_559e5a2274fa4a15942f896fba73ae3c~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_559e5a2274fa4a15942f896fba73ae3c~mv2.webp)
偶然を言い訳にして [第3話]
【第3話】 ストリート57 商談は16時過ぎに終わった。 三好はオフィスを出て、まっすぐあの路地へ向かった。 食堂の店主は、仕込み中だった。 三好はスマホの翻訳アプリを開き、文字を打った。 「明日の夜19時過ぎ、この店によく来る男2人と女の子1人の3人組が来ます。その女の子、彼らに監禁されていて見張られています。食事が終わりかけたころ、女の子がトイレのふりをして立ち上がります。そのとき、裏口から外に出してやってください」 画面を差し出すと、店主は眼鏡をかけ直して読んだ。 しばらく間があった。 三好は店主の顔を見た。 店主は三好を見た。 それから、静かにうなずいた。 「アリガトウゴザイマス」と言うと、店主が同じ言葉を返した。 それから「タスケテモラッタカラ」と続けた。 発音は、あの夜と変わらなかった。 ホテルに戻り、在カンボジア日本大使館の場所を地図で確認した。 BKK1からノロドム通りを南へ、徒歩で15分ほど。 タクシーは使わない。 路地を使って近くまで隠れながら移動する。 最後だけ、大通りに出て丸見えになる。 そこは走り抜けるしかない。 明日の

GENPASS 編集 三好
1 日前
![偶然を言い訳にして [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_f3c4058d9bc44a95824e21ecbcae77c6~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_f3c4058d9bc44a95824e21ecbcae77c6~mv2.webp)
![偶然を言い訳にして [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_f3c4058d9bc44a95824e21ecbcae77c6~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_f3c4058d9bc44a95824e21ecbcae77c6~mv2.webp)
偶然を言い訳にして [第2話]
【第2話】 渡された計画 翌朝、三好は7時に目が覚めた。 引き出しの中の紙のことを、すぐに思い出した。 シャワーを浴び、朝食をとり、午前中の商談に向かった。 アジェンダは仕様書の細部確認と、今後のスケジュール調整だった。 三好は資料に集中した。 仕事は、仕事として片付けなければならない。 商談は、午後3時に終わった。 先方との詳細条件の詰めは順調で、数量・価格ともにほぼ合意に近い状態になった。 次回は契約書の草案を持参することになるだろう。 三好はオフィスを出て、タクシーを拾った。 ホテルへ戻りながら、スマホで時計を確認した。 15時40分。あと3時間以上ある。 ホテルに戻り、シャワーを浴び、着替えた。 デスクの上に、昨夜書いたメモ用紙を折りたたんだものがあった。 ROSEWOOD PHNOM PENH と書いたものだ。 胸のポケットに入れた。 19時ちょうどに、ホテルを出た。 夕暮れのBKK1は、朝や昼と空気が違った。 バイクの数が増え、路上の屋台が灯りをつけ始め、 どこからともなく香草のにおいが漂ってきた。 三好は昨日と同じ路地に入り、...

GENPASS 編集 三好
2 日前
![偶然を言い訳にして [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_18fb8cc64b674ab2969f7ecb21b9cc9f~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_18fb8cc64b674ab2969f7ecb21b9cc9f~mv2.webp)
![偶然を言い訳にして [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_18fb8cc64b674ab2969f7ecb21b9cc9f~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_18fb8cc64b674ab2969f7ecb21b9cc9f~mv2.webp)
偶然を言い訳にして [第1話 / 全4話]
【第1話】 見知らぬ手のかたち プノンペンは2度目だった。 3年前に同じ目的で来たとき、商談がまとまらなかった。 今回は先方が供給体制を整えたと聞いており、前回よりも条件が揃っている。 空港を出ると、湿った熱気が体にまとわりついた。 雨季のカンボジアはこういうものだと分かっていても、東京のそれとは質が違う。 光がきつく、空気が重い。 タクシーを拾い、助手席に荷物を乗せた。 渋滞の中を、ドライバーが慣れた手つきでトゥクトゥクをかわしながら走った。 道路の両側には、バイクが際限なく流れていた。 何台もが同時にクラクションを鳴らし、それでも不思議と誰もぶつからなかった。 今回のプノンペン出張は、タイの工場に供給する天然ゴム原料の調達先開拓が目的だった。 カンボジア南部に農園を持つ地場農業法人との商談で、初日の打ち合わせは好感触だった。 先方の代表は流暢な英語を話し、供給量についても前向きな回答を出した。 次回以降の詳細協議に進める見通しが立った。 ホテルはBKK1に近いモニヴォン大通り沿いのRosewood Phnom Penh にとった。...

GENPASS 編集 三好
3 日前


「コーラいらないならあたしいらない?」バンコクSpanky's
ナナプラザ2階。 今回やって来たのはゴーゴーバー「Spanky's(スパンキーズ)」。 Photo: FritzDaCat / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0 店の前まで来ると、中からすでに音が聞こえてくる。 「おお……」 まだ入ってないのに元気だな。 Spanky'sはナナプラザ2階にあるゴーゴーバー。 訪問時は19:30〜03:00だった。 外まで音が聞こえてくる時点で、静かな店ではなさそうだ。 ということで、入店。 場所 店内はやっぱり賑やかだった。 ステージに視線が集まり、客席からも声が飛んでいる。 「なるほど。これはワイワイ系だな」 とりあえず席へ。 さて、何を飲もうか。 周りを見る。 ビール。 ウイスキー。 カクテル。 そして俺。 コーラ。 「俺だけ健康診断の帰りみたいになってない?」 ちなみにコーラは180バーツ。 まあいい。 俺は酒を飲まない。 コーラで夜遊びする男、それが俺だ。 そんな感じでコーラを飲んでいると、女の子が一人やって来た。 「コーラ?」 「うん」 「お酒は?」 「飲まない」 「飲

GENPASS 匿名協力記者
4 日前
![何度目の青空か? [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_4541099675f94b9395b251b2980d8068~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_4541099675f94b9395b251b2980d8068~mv2.webp)
![何度目の青空か? [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_4541099675f94b9395b251b2980d8068~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_4541099675f94b9395b251b2980d8068~mv2.webp)
何度目の青空か? [最終話]
【最終話】 何度目の青空か? 翌朝、ホテルを出て路地を歩いていたとき、スマホの画面に目を落とした。 一歩分、歩みが遅れた。 直後、数歩前の石畳に花鉢が砕けた。 音が先だった。 陶器が石畳に叩きつけられる、鈍い音。 立ち止まって見た。 破片と土が靴先まで散っていた。 頭上を見上げた。 三階の手すりに、空の鉢台だけが残っていた。 人影はなかった。 歩みを緩めていなければ、頭上に落ちていた位置だった。 ゆっくりとしゃがんで、破片の一つを拾った。 素焼きの欠片。 風で落ちる角度ではなかった。 三好は破片を石畳に戻し、上着のホコリを払った。 命を狙われた、ということだ。 今日エドゥアルドに会いに行く理由が一つ増えた。 タクシーを拾った。 エドゥアルド・田中のオフィスは、イタイン・ビビ地区の高層ビルの上階にあった。 会議室に通され、まず条件の話を続けた。 サプライチェーンの詳細。 納期と仕様の確認。数字の精査。 エドゥアルドは終始、手慣れていた。 話が速く、論点が明確で、無駄な言葉がなかった。 ビジネスマンとして、いい相手だった。 それは最初から変わっていな

GENPASS 編集 三好
9月7日
![何度目の青空か? [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_0b5894685f0d424aa6dbf862b73e5440~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_0b5894685f0d424aa6dbf862b73e5440~mv2.webp)
![何度目の青空か? [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_0b5894685f0d424aa6dbf862b73e5440~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_0b5894685f0d424aa6dbf862b73e5440~mv2.webp)
何度目の青空か? [第3話]
【第3話】 わからない 渡辺から連絡があったのは、翌朝のことだった。 窓の外には青空が広がっていた。 「続きを話す。今日また会えるか」—— 日本語のメッセージが短く届いた。 三好はルイーザに電話した。 「渡辺さんから連絡があった。今日また会えるか、と」。 脅迫状のことは、まだ言わなかった。 「行きます」と彼女はすぐに答えた。 昼過ぎに、ルイーザと合流してリベルダーデへ向かった。 地下鉄を降りて路地に入ったとき、首の後ろに何かを感じた。 視線だとすぐにわかった。 さりげなく後ろを確認すると、 赤いポロシャツを着た男が、同じ距離を保ったまま歩いていた。 「まっすぐ向いたまま聞いてください」 と三好はルイーザに小声で言った。 「今、尾行されています」 ルイーザが振り返りかけた。 「見ちゃダメです」 と三好はすぐに言った。 「え、本当ですか」 「次の角を曲がったら全速力で走ってください」 角が見えた。 二人で曲がった瞬間、三好は走り出した。 ルイーザも遅れずについてきた。 路地をもう一本曲がって、古い建物の陰に体を押し込んだ。 ルイーザが隣に滑り込んだ。

GENPASS 編集 三好
9月6日
![何度目の青空か? [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_13399515ef0a475fb32e84fbe2ae3e2e~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_13399515ef0a475fb32e84fbe2ae3e2e~mv2.webp)
![何度目の青空か? [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_13399515ef0a475fb32e84fbe2ae3e2e~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_13399515ef0a475fb32e84fbe2ae3e2e~mv2.webp)
何度目の青空か? [第2話]
【第2話】 逃げていない 翌朝、目が覚めると、窓の外には青空が広がっていた。 サンパウロの空はまた、どこまでも青かった。 「田中は嘘をついた。高橋さんは何も悪いことをしていなかった」 老人の言葉を英語に直して伝えると、ルイーザは黙った。 声が揺れなかった。 表情が、少しだけ変わった。 ほんの一瞬、何か大切なものを確かめる顔をした。 それからまた、静かな顔に戻った。 「高橋は、私の祖父の名前です」 「でも、高橋という苗字は——」 と三好は言いかけた。 「渡辺義雄という名前が、祖母の手紙にありました」 とルイーザは続けた。 「だから来た。その人に会いに来た」 立ち去るつもりはないようだった。 老人に話を聞かせてほしいと言った。三好を見た。 「通訳してもらえますか」と続けた。 通訳。三好はその言葉を一瞬考えた。 明日も商談があった。夜は早く寝るつもりだった。 今夜のことはすでに「仕事以外」の領域に入りかけていた。 それでも、断ってはいけないような空気があった。 ルイーザは答えを待っていた。 渡辺老人は最初、頑なだった。 ルイーザがポルトガル語で話しかけ

GENPASS 編集 三好
9月5日
![何度目の青空か? [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_a1580ab2892f476fb74c9ebbed4e2a56~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_a1580ab2892f476fb74c9ebbed4e2a56~mv2.webp)
![何度目の青空か? [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_a1580ab2892f476fb74c9ebbed4e2a56~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_a1580ab2892f476fb74c9ebbed4e2a56~mv2.webp)
何度目の青空か? [第1話 / 全4話]
【第1話】 何かを追っている目だった サンパウロに降りたのは、現地時間の午後3時過ぎだった。 グアルーリョス国際空港から市内まで、渋滞で1時間以上かかった。 窓の外に超高層ビルが続いた。 東京に似ているが、密度が違う。 コンクリートの塊が、地平線の向こうまで広がっていた。 その上に、青空が広がっていた。 コンクリートに押し込まれた街の上だけが、遮るものなく青かった。 人口2200万。南米最大の都市。 これほどの規模の街が、なぜか知られていない。 ブラジルといえばリオデジャネイロ。 コパカバーナ、カーニバル、サンバ。 サンパウロは違う。働く街だ。稼ぐ街だ。 日本でいえば東京で、リオは京都か沖縄か—— そういう街だと着陸前に読み直した資料に書いてあった。 Fasano São Pauloにチェックインした。 ジャルジンス地区の静かな通りに面したホテルだ。 1920年代のヨーロッパを意識したクラシックな内装。 高い天井、重厚な家具、廊下の灯りが低く落ち着いていた。 部屋に入ると、窓の外にジャカランダの木が見えた。 紫の花が夕暮れの光を受けていた。 その

GENPASS 編集 三好
9月4日
![I see... [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_ab22cd305ca248c28895ff6736dea4ae~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_ab22cd305ca248c28895ff6736dea4ae~mv2.webp)
![I see... [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_ab22cd305ca248c28895ff6736dea4ae~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_ab22cd305ca248c28895ff6736dea4ae~mv2.webp)
I see... [最終話]
【最終話】 I see... 夜明けまで、あと少しだった。 「あなたの会社の名前が書類に出てきたこと、知っていましたか」 Meiの声は静かだった。 三好は天井を見たまま答えた。 「どの書類ですか」 「貼り紙の彼女が持ってきたものの中に、あなたの会社への納入計画が含まれていました。入札前の段階で、受注先がすでに内定している——そういう書類でした」 部屋が静かだった。 「俺たちが、最初から選ばれていた」 「はい」 三好は目を閉じた。 Straits Precisionが工場ツアーを延期した理由が、ようやく整合した。 隠したいものがあったのではない—— 契約はすでに決まっているという前提で動いていた。 だから見せる必要がなかった。 早急な回答を求めてきたのも、既定路線の確認に過ぎなかった。 三好は三日間、すでに決まっていることを決めるために、ここにいた。 「なぜ今言うんですか」 Meiは答えなかった。 しばらくして言った。 「路地であなたを見かけたのは、偶然ではありません」 三好は目を開けた。 Meiはまだ窓の外を見ていた。 「あの貼り紙を外から読んで

GENPASS 編集 三好
8月31日
![I see... [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_eb6584c617c64f288137d46b735bb5a3~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_eb6584c617c64f288137d46b735bb5a3~mv2.webp)
![I see... [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_eb6584c617c64f288137d46b735bb5a3~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_eb6584c617c64f288137d46b735bb5a3~mv2.webp)
I see... [第3話]
【第3話】 初めて見た顔だった 電話が来たのは7時だった。 カーテンの隙間から、ペナン海峡の朝が薄く入ってきた。 「先方から連絡が入った。早めに回答がほしいそうだ。どう見る?」 上司の声は穏やかだった。 その穏やかさが、三好には圧として届いた。 電話越しの沈黙は、「迷っているのか」という問いと同義だった。 「もう一日、待ってください」 「一日か」 「はい」 「先方は待ちたくないそうだが」 「それでも」 間があった。 「わかった。明日の午前中には答えを出せ」 電話が切れた。 三好はシャワーを浴びながら、数字を整理した。 Straits Precisionの財務内容は健全だった。 技術力も問題ない。 Bayan Lepasの工場はボッシュとの取引実績を持ち、ISO認証も取得していた。 ブレーキセンサー用コンポーネントのサプライヤーとして、条件は揃っていた。 では、なぜ答えが出ないのか。 髪を拭きながら、ナイトスタンドに置いたブリーフィング資料を見た。 数字と図表の隙間に、貼り紙の内容が重なった。 Siti binti Rahmat。4月3日から行方不

GENPASS 編集 三好
8月30日
![I see... [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_7659221388f143eb9c1ab77ecb1266bd~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_7659221388f143eb9c1ab77ecb1266bd~mv2.webp)
![I see... [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_7659221388f143eb9c1ab77ecb1266bd~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_7659221388f143eb9c1ab77ecb1266bd~mv2.webp)
I see... [第2話]
【第2話】 たいていそう言います 朝、ブリーフィング資料をもう一度開いた。 昨夜と同じ文字が並んでいた。 でも、読み方が変わっていた。 数字は昨日と変わらない。 成長率も、設備投資の推移も、返済比率も、問題がなかった。 それは確かだ。 だが、数字の下に何があるかは、数字を見ていてもわからない。 バヤンレパスまでタクシーで向かった。 ジョージタウンを離れると、風景が変わった。 コロニアルの建物が消え、工業団地の直線的なフェンスが続く。 インテル、ボッシュ、インフィニオン—— 世界中の自動車と電子機器の中身がここで作られている。 ペナン国際空港を降りたとき窓から見えた屋根が、今は目の前にあった。 Straits Precision Componentsの本社は、クリーンな外観のガラス張りのビルに入っていた。 ロビーは白く、スタッフは若く、英語は流暢だった。 会議室のプロジェクターには整然としたスライドが映し出され、 財務サマリー、生産キャパシティ、サプライチェーンの概要が順番に展開された。 担当者の説明は速く、的確で、質問への返答もよどみがなかった。

GENPASS 編集 三好
8月29日
![I see... [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_8c8ee3c030184bc09798f2ed231de750~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_8c8ee3c030184bc09798f2ed231de750~mv2.webp)
![I see... [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_8c8ee3c030184bc09798f2ed231de750~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_8c8ee3c030184bc09798f2ed231de750~mv2.webp)
I see... [第1話 / 全4話]
【第1話】 正確に嘘でもなかった ペナン国際空港に降りたのは、夕方4時過ぎだった。 着陸前、窓の外にバヤンレパスの工業地帯が見えた。 工場の屋根が夕日を受けて、銀色に広がっていた。 世界遺産の街として知られるペナンだが、飛行機から見える景色は工業都市だった。 インテルの工場、ボッシュの工場。 明日会う会社も、あの屋根のどこかにある。 荷物を受け取って、タクシーに乗った。 バヤンレパスからジョージタウンまで、渋滞を縫いながら20分ほどかかった。 車窓の風景が変わった。 工場地帯の直線的な建物が消え、コロニアル様式の古い建物が現れた。 レンガ、漆喰、色あせたペンキ。 時間の圧が、変わった。 ホテルはジョージタウンの海沿いにあった。 Eastern & Oriental Hotel ——1885年創業、英国植民地時代の社交の中心だった場所だ。 白い外壁、アーチの廊下、テラスからペナン海峡が見える。 チェックインを済ませて部屋に入ると、窓の外に夕暮れの海が広がっていた。 向こう岸にバタワースの灯りが揺れていた。 PCを開いた。明日のブリーフィング資料を最

GENPASS 編集 三好
8月28日


カラオケAGEHA バンコク
完璧でない方が、エロス心をそそられる説。 クラスNo.1美女よりも、バカ話もできる女友達とふざけていて スカートからこぼれた太ももにドキッとした経験。 人気女優がついに脱いで見事な裸体を見せるより、 地味な後輩が落とした携帯を拾おうとして一瞬みえた小ぶりな胸の谷間を尊く感じられる現象。 俺はこの傾向が強い。 といってもペタジーニの奥さんのようなアウトコース打ちではない。 少し外す程度が良い。 タイの夜遊びも同じ。 友人は “東南アジアの女?” と言う。 最近のタイ女性はSNSの影響でレベルが上がっている。 でも本当の魅力は、可愛いけどゆるさがあるところ。 タニヤという日本街がある。 カラオケという飲み屋が密集。 1時間700バーツ(3000円程)のセットで飲め、 出会って1時間で相手のお持ち帰りもできる、“夜のいきなりステーキ”だ。 “できあがった遊び”と言う人もいる。 だが、キャリアウーマンのスーツ姿にパンティーラインが浮かぶこともある。 予定調和だからこそ、崩れた時が面白い。 場所:62/6 ,Soi, Thaniya Rd, Bang Ra

GENPASS 匿名協力記者
8月26日
![君の名は希望 [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_6b6048fbe07e493591d987ca7a8cafb6~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_6b6048fbe07e493591d987ca7a8cafb6~mv2.webp)
![君の名は希望 [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_6b6048fbe07e493591d987ca7a8cafb6~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_6b6048fbe07e493591d987ca7a8cafb6~mv2.webp)
君の名は希望 [最終話]
【最終話】 君の名は希望 目が覚めると、灯はいなかった。 テーブルの上に、小さな紙が一枚あった。 何も書いていなかった。 窓の外、Herengrachtに朝の光が当たっていた。 水面は静かだった。 灯がいた側の枕に、かすかに香りが残っていた。 それだけが、昨夜が本物だったことの証拠だった。 チェックアウトを済ませた。 ポーターがスーツケースを運んだ。 エントランスを出る前に、Herengrachtをもう一度見た。 対岸の並木が水に映っていた。 4日前に着いたときと同じ光景だった。 でも何かが違った。 同じ光の中に、昨夜の影が混じっていた。 スキポール空港は広かった。 搭乗ゲートのプラスチックチェアに座って、搭乗まで一時間あった。 PCを開く気にはなれなかった。 コーヒーを飲みながら、灯のことを考えた。 なぜ招待客リストを確認していたのか。 なぜAmpèreLinkを知っていたのか。 「守っているものがある」とは何のことだったのか。 「直接関係しているわけではない。でも関係がないとも言えない」—— あの言葉の意味は。 答えは出なかった。...

GENPASS 編集 三好
8月24日
![君の名は希望 [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_570ca5a906c64e6a82a872459b47c592~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_570ca5a906c64e6a82a872459b47c592~mv2.webp)
![君の名は希望 [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_570ca5a906c64e6a82a872459b47c592~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_570ca5a906c64e6a82a872459b47c592~mv2.webp)
君の名は希望 [第3話]
【第3話】 帰り道は遠回りしたくなる 朝、書類をもう一度開いた。 AmpèreLinkの設備投資資料、展開スケジュール、資本構成の開示レポート。 数字は変わっていなかった。 整合が取れない部分も変わっていなかった。 昨日の「最終調整中」も変わっていなかった。 断ることは、昨夜の時点で決めていた。 理由は数字だけじゃなかった。 何かが引っかかっていた。 担当者の笑顔が多すぎる。 答えが滑らかすぎる。 資料の量は多いのに、核心から遠い。 長年、商談を繰り返してきた経験の中で身についた感覚があった。 うまく言語化できないものだったが、外れたことがなかった。 AmpèreLinkのオフィスへ向かった。 担当者は昨日と同じ笑顔で出迎えた。 コーヒーが出た。 「本日は前向きなご回答をいただければと」 「持ち帰って社内で検討します」 と俺は言った。 「決定には時間がかかりますが、ご了承ください」 笑顔が一瞬だけ硬くなった。 「具体的なスケジュール感はいかがでしょうか」 「2週間から1ヶ月は見ていただきたいと思います」 それで終わった。 2週間で返事はしない。

GENPASS 編集 三好
8月23日
![君の名は希望 [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_d6f4c1b35b2a45c8b0b8a06859a145d1~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_d6f4c1b35b2a45c8b0b8a06859a145d1~mv2.webp)
![君の名は希望 [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_d6f4c1b35b2a45c8b0b8a06859a145d1~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_d6f4c1b35b2a45c8b0b8a06859a145d1~mv2.webp)
君の名は希望 [第2話]
【第2話】 描かれていないものの話をした カーテンを少し開けると、運河が見えた。 朝の光の中で水面が鈍く光っていた。 空は低く、白かった。ア ムステルダムの朝は明るいのに、どこか薄暗かった。 光量があるのに、陽が刺さない。 緯度のせいかもしれない。 シャワーを浴びながら、昨夜のことを考えた。 灯が言った言葉 ——「チアロスクーロは、見せたくないものを隠す技術でもあります」—— を商談相手に当てはめてみた。 答えは滑らかすぎた。 それはまるで、丁寧に準備された影だった。 灯から連絡があったのは、午前8時過ぎだった。 「10時に職員入口でお待ちしています。表から入る必要はありません」 裏口から入るということが、それだけで何かを意味していた。 職員通路は観光客が歩く廊下とは別の動線だった。 灯に案内されて、修復室の前に立った。 厚いガラスの扉の向こう、数人の専門家が白い作業服を着て、大きなキャンバスの前に座っていた。 照明が普通の部屋と違った。 青みがかった白い光が、絵の全面に当たっていた。 「修復用の照明です」 と灯は言った。 「絵の表面の状態を正確

GENPASS 編集 三好
8月22日
![君の名は希望 [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_94cb959d4da54101ba5bce930ebe9a5d~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_94cb959d4da54101ba5bce930ebe9a5d~mv2.webp)
![君の名は希望 [第1話 / 全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_94cb959d4da54101ba5bce930ebe9a5d~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_94cb959d4da54101ba5bce930ebe9a5d~mv2.webp)
君の名は希望 [第1話 / 全4話]
【第1話】 7割が、影だった アムステルダムには初めて来た。 スキポール空港からトラムで中央駅へ、そこから歩いた。 最初の運河を渡ったとき、水面が夕暮れの光を受けて金に近い色をしていた。 ラスベガスとも東京とも違う種類の光だった。 何百年も前から同じ場所にある光だ、となぜか思った。 街全体が水の上に乗っている。 運河が道路と並走し、橋が至るところにある。 自転車の多さに最初は面食らった。 歩行者より多い。車より多い。 この街では自転車が優先だと、渡りかけた横断歩道を引き戻されながら理解した。 今回の商談相手は、AmpèreLink B.V.という会社だった。 アムステルダム南部に本社を構え、欧州圏9カ国に急速充電ネットワークを展開している。 創業6年、次のステップとして日本市場への参入を検討しており、現地流通パートナーを探している—— それが表向きの話だった。 規模は十数億。悪くない案件に見えた。 ただ、上司はこう言った。 「資金の出所を確かめてこい」 ホテルはHerengracht沿いにあった。 Waldorf Astoria Amsterda

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8月21日
![しあわせの保護色 [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_f913e726804c44d1a06254c25207b760~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_f913e726804c44d1a06254c25207b760~mv2.webp)
![しあわせの保護色 [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_f913e726804c44d1a06254c25207b760~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_f913e726804c44d1a06254c25207b760~mv2.webp)
しあわせの保護色 [最終話]
【最終話】 しあわせの保護色 腕が引かれた。 カーテンで遮られた暗闇の中で、雪穂の白い肌だけが浮かんでいた。 細い首筋に顔を埋めると、ひんやりとしていた。 でもその奥に熱があった。 皮膚の下で、確かに何かが動いていた。 雪穂の指が背中に回った。 縋るような、手放したくないような力だった。 その手を握り返した。指が細かった。 骨の感触が、手のひらにそのまま伝わってきた。 唇が触れた。 向こうから来た。 柔らかかった。震えていた。 薄い肩を引き寄せると、肩甲骨がそのまま手のひらに当たった。 シャツの裾を払うと、白い腹が現れた。 鎖骨の下、胸の丸みが手の中に収まった。 温度があった。 雪穂の息が乱れた。 俺の名前を呼んだ。 今夜初めて、俺の名前を呼んだ。 腰の細さが骨まで伝わってきた。 太腿の内側が白かった。 指を埋めると、奥に熱があった。 どこまでが彼女で、どこからが自分なのか、わからなくなった頃 ——雪穂が低く声を上げた。 背中に爪が食い込んだ。 手放すまいとしている力だった。 彼女の体は軽かった。 腕の中に収まっていた。 それでも重さがあった。人

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8月17日
![しあわせの保護色 [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_57a62e198900437bac39063211c2af97~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_57a62e198900437bac39063211c2af97~mv2.webp)
![しあわせの保護色 [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_57a62e198900437bac39063211c2af97~mv2.png/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_57a62e198900437bac39063211c2af97~mv2.webp)
しあわせの保護色 [第3話]
【第3話】 今夜だけ、ここにいる 翌朝、俺はフェリーターミナルへ行かなかった。 雪穂の言葉を半分だけ信じていた。 根拠はなかった。 ただ、あの一瞬の表情には、俺が知らない何かがあった。 知っている情報が多いほど、人間の目は深くなる。 彼女の目は、深かった。 ホテルの部屋で、コタイ・グランド・リゾーツの関係企業を調べた。 香港に持ち株会社、マカオにSPC(特別目的会社)が三つ。 設立年が2020年以降に集中していた。 マカオのカジノ産業が規制強化を受けた時期と重なる。 規制に押し出された資金が、別の器に流れ込んだと見るのが自然だった。 VIP向けフリート事業は、大きな資金移動を合法的に見せる手段になりうる。 上司の「きな臭い」が、ようやく輪郭を持ち始めた。 昼過ぎ、ロビーへ降りた。 雪穂と目が合った。 彼女が先に視線を外した。 肩が、わずかに強張っていた。 スーツ姿の男が二人、エントランス付近で手持ち無沙汰に立っていた。 ホテルの客とも、スタッフとも、少し違う佇まいだった。 30分後、二人はいなくなった。 俺が部屋に戻らなかったからか、諦めたのか、

GENPASS 編集 三好
8月16日
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