高級住宅街に一軒だけ沈む「Bahamas Club」で出会った、甘い日本語で男を骨抜きにする極上美女


サンパウロって、実は標高800メートルの高原に広がる街なんだよね。
だから海辺のリオとは違って、夜風が思いのほか乾いていて冷たい。
上着なしで調子に乗って出歩くと、たいてい後悔することになる。
向かったのはモエマ(Moema)エリア。
高層マンションとオシャレなレストランが立ち並ぶ、南部の高級住宅街だ。
ギラギラした歓楽街を勝手に想像していた俺は、見事に肩透かしを食らった。
怪しげなネオンなんて、ひとつも灯っていない。
静まり返った住宅街の路地に、明らかに毛色の違う茶色い巨大な建物が、ぬっと構えているだけ。
ここが、サンパウロの夜の象徴と呼ばれる大人向けクラブ「Bahamas Club(バハマス・クラブ)」だ。
場所
「せっかくだからサンパウロの夜の街を調査しておこう」なんて、
誰に言い訳するでもない使い古された免罪符を心の中で掲げ、俺は一人で繰り出した。
男性は入口で入場料とミニマムチャージを払うシステム。
つまり、扉をくぐった瞬間から俺の財布は順調に出血しているわけだ。
だがしかし、世の中そう甘くはない。
広い店内を一人で冷やかしてまわるものの、どうにもピンとくる子がいない。
「うーん、今日は諦めて帰ろっか……」
男ひとり、敗北感たっぷりの顔で撤退を決めかけた、まさにその直後だった。
「すみません、日本人の方ですか?」
背後から、あまりにも静かで、しっとりとした声が聞こえた。
振り向くと、そこにいたのは絶賛接客中のブラジル人女性。
どこからどう見ても、彫りの深い極上のラテン系美女だ。
「あ、はい。そうですけど……」
落ち着いたトーン、完璧なイントネーション。
完全なネイティブの日本語じゃないか。
カオスすぎる。ここはサンパウロだぞ。
「すぐ戻りますから、少しだけ待っていただけますか?」
彼女はそう言って丁寧にお辞儀を残すと、接客中の客のもとへ戻り、
わずか5分ほどでスマートに席を立ってこちらへやってきた。
歌舞伎町でもサンパウロでも、男は包容力に弱い
「本当に日本人の方なんですね。こんな場所でお会いできるなんて、なんだか嬉しいです」
柔らかな微笑みを浮かべながら、彼女は俺の隣にそっと腰掛けた。
聞けば、日本で生まれ育った日系人らしい。
ブラジルは世界最大の日系人社会を抱える国。
日本で働いて戻ってきた家庭の子なら、日本語が母語になるのも納得だ。
とはいえ、ポルトガル語がさっぱり分からず言葉の壁に打ちのめされていた一人旅の俺にとって、
この落ち着いた会話の心地よさはまさに砂漠のオアシスだった。
「日本人の方とお話しするの、すごく久しぶりで……なんだか懐かしいです」
彼女はそっと俺の腕に手を添え、距離を詰めてくる。
肩が触れ合い、香水と素肌の甘い匂いが混ざり合って、
俺の脳内メモ帳は即座に使い物にならなくなった。
「あちらの方と私、どちらが好みですか?」
「もちろん、君だよ」
上目遣いと、絶妙な間。
小悪魔的なのに、品がある。
こちらのスケベ心を完全に見抜いたうえで、
余裕たっぷりに遊ばれている感覚だ。
「ふふ、即答してくれるんですね。本当は私のこと、ちゃんと見てくださっていたでしょう?」
くそっ、完全に手のひらで転がされている。
彼女は店内でもトップクラスの品格と美貌を誇る女性だ。
周りの客たちが刺すような視線を送ってくるのが痛い。
でもまあ、この優越感も悪くないわけだ。
彼女は俺の太ももを優しく撫でながら、耳元で小声で囁いてきた。
「ねぇ……このあと、私と静かなところへ行きませんか?」
大人のトーンの甘い囁き。
断れるわけがない。
俺は深呼吸をして、平静を装いながら答えた。
「もちろんだとも」
提示された金額は1,000レアル。
これに別途、部屋代が加算される。
金額の交渉は、店ではなく女性と直接おこなうスタイルだ。
安くはない。
でも、サンパウロ最高峰と言われる店の格、目の前にある極上の容姿、
そして何より日本語で甘やかしてくれる優越感。
すべてを合算すると、むしろ安いとすら思えてしまうのだから恐ろしいところだ。
俺は彼女の手を握り、上階の部屋へと階段を上った。
密室の甘い罠と、解けない魔法
部屋の重いドアが閉まる。
一気に静寂が訪れ、エアコンの冷気と彼女の甘い匂いが交差した。
「ふふ、少し緊張なさっていますか?」
彼女はそっと俺のシャツの胸元に手を置き、
爪を立てるか立てないかの絶妙な力加減で滑らせてくる。
「いや、そんなことは……」
「嘘。手、すごく温かくなっていますよ」
即座に断定するな。
こちらの動揺を、何から何まで言い当てるんじゃない。
俺の心拍数を、大人の余裕たっぷりの日本語で解読するな。
だが、いざベッドに横たわると、
こちらの「下半身の代表選手」が完全な緊張状態でフリーズしてしまった。
地球の裏側まで来て、まさかの不戦勝ならぬ不戦敗のピンチである。
俺の情けない動揺を察したのか、
彼女は「可愛い……」とクスッと笑うと、膝をついてゆっくりと顔を寄せてきた。
しっとりとした温もりに包まれた瞬間、俺のフリーズしていた選手が一気に覚醒する。
プロの熟練された舌使いは、俺の拙いポルトガル語の100倍は滑らかだ。
下から覗き込むような妖艶な瞳で見つめられ、脳内のヒューズが音を立てて飛んだ。
彼女は唇を離すと、甘い息を吐きながら俺の胸をそっと撫で下ろした。
「何も考えないで、私に全部預けてください……」
理屈じゃない、降参だ。
頭の中の小難しい言い訳をすべて投げ捨てた俺の上へ、
南米の太陽のような美貌を持つ彼女がゆっくりと乗っかってきた。
ゴムを装着し、滑り込むように一体になる。
美しいくびれを描く腰が、こちらの反応を確かめるように緩やかなリズムを刻む。
焦らすような絶妙な速度に、俺はもう声も出ない。
あまりの気持ち良さに意識が飛んで早々にフィニッシュしてしまいそうになり、
俺は天井の一点を睨みつけながら必死で理性を保とうと踏ん張った。
そんな必死すぎる俺の顔を見て、彼女は面白そうに目尻を下げた。
「ふふ、すごく気持ちいいですか?」
「は、はい……めちゃくちゃ気持ちいいです……」
カッコつける余裕なんて一ミリもない。
情けなくも完全な従属関係だ。
体勢を入れ替え、彼女を後方から包み込むようにして激しく腰を動かす。
部屋に満ちる甘い香水の匂いと、彼女の口から漏れる艶っぽいポルトガル語の喘ぎ声。
日本語の安心感と、異国の美女の淫らな吐息が混ざり合い、俺の理性を跡形もなく砕いていく。
波のように押し寄せる快感に飲み込まれ、
最後は二人で同時に大きな息を吐き出しながらフィニッシュを迎えた。
完敗だ。完膚なきまでに、彼女の甘く情熱的な魔法にひれ伏した。
終バスを逃し、サンパウロの夜に消える
事を終えても、彼女は「もう少しだけ、一緒にいてくださいませんか?」
と優しく腕を抱きしめて放そうとしない。
そんな心地よい引き止めに抗えるはずもなく、
ダラダラと甘い時間を過ごした結果――
グアルーリョス国際空港行きの最終バスを、完全に見送る羽目になった。
空港まではおよそ40キロ。
深夜、高額なタクシーの後部座席に揺られながら、
流れゆく街灯をぼんやり眺める。
こんな金の使い方してたら、旅が続かん……
気をつけよう……
財布への大ダメージに苦笑いしつつも、
胸の奥にはどこか爽快で、甘い余韻が残っていた。
高級住宅街の静けさの中に、ぽつんと沈む一軒。
分厚い扉の向こうには、日本人客の習性を知り尽くし、
甘い日本語で男を骨抜きにする極上の魔法使いが待っていた。

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