ムオンタンホテルマッサージ ベトナム ダナン
- GENPASS 編集 八田

- 7月7日
- 読了時間: 5分

ダナンにある Muong Thanh Grand Hotel。
その中にあるホテル内マッサージ、いわゆるムオンタンホテルマッサージである。
場所はホテルの中。
外に怪しい看板は出ていない。
普通にホテル。エレベーター。廊下。4階。
この「ホテル内」という言葉には、不思議な安心感がある。
人はなぜか、ホテルの中にあるだけで少しちゃんとしている気がしてしまう。
だが、それは大きな勘違いである。
場所がホテルでも、向かっている人間の中身がホテル品質とは限らない。
場所
俺は受付で「VIP MASSAGE」を選んだ。
つまり、この時点でもう分かっている。
俺も分かっている。
受付も分かっている。
たぶんホテルの4階の空気も分かっている。
なのに俺は、なぜか紳士の顔をしていた。
「旅行で疲れたので、少しマッサージを」
みたいな顔。
嘘をつくな。
お前は疲労回復だけでVIPという三文字を選んだのか。
肩こりにそんなに課金するタイプだったか。
エレベーターで4階へ上がる。
照明も普通。空気も普通。
だからこそ、俺の中のやましさだけが異常に目立つ。
部屋に入る。
そこそこきれい。
ホテル内マッサージらしい安心感もある。
ああ、なるほど。
これは意外とちゃんとしている。
そして女の子が入ってくる。
若めのベトナム人っぽい子。
愛想もいい。
変にガツガツしていない。
むしろ最初は、かなり普通のマッサージ師の顔をしていた。
「リラックスしてください」
そう言って、普通にマッサージが始まる。
肩。背中。足。
そういうところのわりに、うまい。
ホテル内マッサージとして、ちゃんとしている。
これはこれでありがたい。
ありがたいのだが、少しずつ俺の中に疑問が生まれる。
ん!?長くないか?
いや、マッサージが長いのは本来ありがたい。
ありがたいはずなのに、俺の脳内では別の会議が始まっていた。
あれ?
俺、ちゃんとVIPって言ったよな?
もしかして発音が悪かった?
VIPじゃなくて、Very Important 肩こり客 として処理されてない?
いや、ちゃんと相応のお金を払ったはず。
女の子はニコニコしている。
そして何も言わない。
いや、絶対分かっている。
この顔は分かっている顔だ。
小悪魔の笑みだ!
こちらが聞くのを待っている。
俺はしばらく耐えた。
聞いたら負けな気がする。
いや、VIPを頼んだのだから聞いてもいいはずだ。
でも自分の口で言うのは恥ずかしい。
受付で済ませたはずの恥を、なぜここで再提出しなければならないのか。
女の子がまたニコッと笑う。
完全に待っている。
もうダメだった。
俺は小さな声で言った。
「スペシャル……ありますか?」
その瞬間、女の子が少しだけ間を置いた。
そして、ドラマ『HERO』に出てくる田中要次みたいな顔で言った。
「あるよ」
あるんかい。
最初からあるんかい。
しかもその言い方、完全に知ってたやつじゃないか。
誰だ、そんな言い方教えた日本人!
俺は今、ベトナムのホテル4階で、スペシャルの在庫確認をさせられている。
女の子はクスっと笑った。
その笑い方がまた、絶妙にSだった。
「あなた、恥ずかしい?」
ここで本来なら、余裕のある男は笑ってごまかす。
「No problem」みたいな顔をする。
経験豊富な大人の男として、軽く流したい。
だが、もう遅かった。
俺の中のMは、すでにホテルの4階で正座していた。
「め、めちゃくちゃ恥ずかしいですっ!!」
言った。
言ってしまった。
しかも、なぜか敬語で。
女の子はまたクスっと笑った。
終わった…。
この瞬間、主従関係が完成した。
受付でVIPを選んだのは俺だったはずだ。
金を払うのも俺。
客も俺。
なのに気づけば、完全に教育される側になっていた。
そこから先は、もう女の子のペースだった。
「気持ちいい?」
完全に分かって聞いている。
そんなところヌルヌルの手で触られたら気持ちいに決まっている。
確認ではない。
これは口頭試問である。
俺は抵抗できなかった。
「き、気持ちいいですっ!!」
何だこの返事は。
俺はホテル内マッサージに来たはずなのに、
気づけば体育会系の後輩みたいな声を出している。
女の子は楽しそうに笑う。
俺はそのたびに、尊厳を一枚ずつ畳んでホテルのベッド横に置いていく。
「どう?これは気持ちいい?」
と、手は激しく上下運動をしているという顔をせず
俺の目の前まで顔を近づけてくる。
俺は俺で、なぜか我慢するのを使命としている。
体力の限界っ!!
まるで、引退時の千代の富士のような発言で
たまらず大量フィニッシュ。
たまらず女の子も驚きながら
「すんごい量!!」
ただ、ムオンタンホテルマッサージで一番恥ずかしかったのは、
量がたくさん出たことではない。
スペシャルを受けたことでもない。
分かっていることを、分かっている相手に、
言わされてことで気持ちよくなり
いつも以上に大量に放出したことである。
そしてさらに恥ずかしいのは、
言わされたあと、普通に従順になってしまったことだ。
あれはマッサージではない。
俺の羞恥心への指圧だった。
でも、それが、最高だった…。
ちなみに後日、
別のムオンタン系列ホテル内スパで摘発ニュースが出ていたのを見つけた。
違法営業ダメ、絶対!
その瞬間、俺は思った。
ホテル内だから安心。
その考え方が、いちばん危ないのかもしれない。
あの日の俺は、4階の部屋でただ一人、
「スペシャル」という単語を言わされただけで、
もう十分に取り調べを受けたような顔をしていたんだ。


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