ホーチミンの老舗クラブで美女をナンパ!言葉が通じない二人の一夜


「せっかくホーチミンまで来たんだから、夜も楽しまないともったいない」
そんな勢いだけで向かったのが、
ホーチミン1区にある老舗クラブ「Apocalypse Now Bar」だった。
場所
店内は大音量の音楽と薄暗い照明。
外国人や現地の若者たちが酒を片手に盛り上がっている。
今日の目標はひとつ。
「ベトナム美女と仲良くなる」
ただし僕は、英語がほとんど話せない。
ベトナム語にいたっては「シンチャオ」くらいだ。
完全に勢いだけである。
目が合った。これは脈あり?
ビールを飲みながら店内を眺めていると、
黒いワンピースを着た女性と目が合った。
長い黒髪に、すらっとしたスタイル。
もう一度目が合うと、彼女がニコッと笑う。
来た!!
これは来た!
日本なら「たまたま目が合っただけ」で終わるのに、
海外だとなぜか「俺に興味がある」に変換される。
ビールの勢いを借りて声をかけた。
「Hello!」
彼女も「Hello」と笑顔で返してくれる。
ここまでは完璧だった。
しかし、そのあと彼女が何を言っているのか全く分からない。
「Sorry?」
もう一度聞いても分からない。
三回目には、彼女が吹き出していた。
ナンパ開始30秒で会話不能である。
からかい上手なリン
こうなったら文明の力に頼るしかない。
翻訳アプリに、
「あなたはとても綺麗ですね」
と入力して見せた。
彼女は画面を読んでニヤッと笑う。
今度は僕のスマホを取り、自分で何か入力した。
画面には、
「それ、今日何人目に言った?」
完全に見透かされている。
「First!First!」
必死に指を一本立てると、
彼女は疑うように目を細めたあと、大笑いした。
名前はリン。
一緒に飲み始めてからも、
僕が聞き取れない英語に適当に「Yes」と返すたび、リンはすぐに気付いた。
ある時は僕のスマホを奪って、
「今、絶対わかってなかったでしょ?」
と翻訳して見せてくる。
図星だった…。
どうやらリンは、
こちらが格好をつければつけるほど面白がるタイプらしい。

ダンスフロアで距離が縮まる
しばらくするとリンが僕の手を引き、ダンスフロアへ向かった。
ダンスは得意ではない。
それでも女性に手を引かれた以上、
「踊れません」と断る選択肢はなかった。
見よう見まねで体を動かす。
リンとの距離が近い。
肩が触れ、腰が触れるたびに、
さっきまでの笑いとは違う空気が混じってくる。
リンが耳元で何か言った。
全く聞き取れない。
でも、また「Sorry?」は格好悪い。
僕は笑顔で、
「OK!」
と答えた。
リンが不思議そうな顔をする。
あとで翻訳すると、
「トイレに行ってくる」
だった。
僕はいったい何を了承したのだろう。
戻ってきたリンはその翻訳画面を見るなり、また笑った。
完全に遊ばれている。
「このあとどうする?」で勝負
深夜になり、意を決して翻訳アプリに入力した。
「このあと、もう少し一緒に飲まない?」
リンは画面と僕の顔を交互に見る。
少し間を置いて、
「OK」
心の中でガッツポーズした。
店を出ると、ホーチミンの夜はまだ蒸し暑い。
リンがGrabを呼んでくれた。
車が到着し、格好よくドアを開けようとすると、知らない男性に止められた。
別の人のGrabだった。
リンはその場で腹を抱えている。
「違う、違う」と笑いながら僕の腕を引っ張った。
ナンパは成功しそうなのに、
最後まで格好がつかない。

ホテルでも翻訳アプリに邪魔される
今度こそ正しいGrabに乗り、ホテルへ向かった。
後部座席では店にいた時より距離が近い。
肩が触れたまま離れない。
リンも避ける様子はなかった。
ホテルの部屋に入り、二人きりになる。
さっきまでの爆音が消えたせいか、急に緊張してきた。
リンがソファに座り、僕も隣へ腰を下ろす。
またスマホを手に取ろうとすると、
リンが僕の手から取り上げ、テーブルへ置いた。
「もう、それいらない」
そんな意味なのだろう。
いたずらっぽく笑いながら、僕の顔を覗き込んでくる。
僕が顔を近づけると、今度は逃げない。
唇がそっと触れた。
その瞬間。
テーブルのスマホから大音量で、
「翻訳できませんでした」
日本語が響いた。
二人とも固まる。
そしてリンが爆笑した。
僕も笑うしかない。
せっかくのムードを、
最後の最後まで翻訳アプリが邪魔してくる。
笑いがおさまると、リンは僕の首に両腕を回した。
今度のキスはさっきより長い。
からかうようだった表情も消え、唇を離すと、
今度はリンのほうからもう一度近づいてきた。
背中に腕を回すと、リンの体が僕に重なる。
ワンピース越しに触れた腰を引き寄せても、彼女は離れなかった。
むしろ耳元で小さく笑い、僕のシャツのボタンに手をかける。
さっきまで翻訳アプリがなければ一言もまともに話せなかった二人なのに、
不思議なほど意思は通じていた。
ソファからベッドへ移るころには、
スマホの存在などすっかり忘れていた。
服が床に落ち、互いの体温が直接伝わる。
僕が少し遠慮すると、
リンはまたあのいたずらっぽい目でこちらを見る。
そして僕の手を取ると、自分から引き寄せた。
どうやら最後まで主導権は彼女にあるらしい。
肌に触れるたび、
さっきまで笑っていたリンの呼吸が少しずつ変わっていく。
僕が彼女の反応を確かめるように手を滑らせると、
リンは目を閉じ、声を抑えるように僕の肩に顔を埋めた。
首筋から胸にかけてゆっくり愛撫していく。
爆発寸前の僕の股間にリンの手が触れた。
「あっ・・」声が漏れた矢先、リンが逆向きになり
舌先でソフトクリームを舐めるかのように上へ下へと動かした。
両手で握りながらこっちをみて反応を楽しんでるようだ。
もう理性なんてぶっ飛び、
目の前にあるリンの魅力的なお尻を鷲掴みにして顔を埋め愛撫した。
言葉での会話は散々だった。
それなのに、この時だけは何を求めているのか迷わない。
もう「Sorry?」も「OK?」も、必要ない。
夜が深くなるにつれ、
部屋には翻訳アプリでは拾えない声と息づかいだけが残った。
しばらくして、隣で横になっていたリンが
突然ベッドから手を伸ばし、テーブルのスマホを取った。
また何か入力している。
嫌な予感がする。
画面をこちらに向けた。
「次は、ちゃんとベトナム語を勉強してきて」
そう書かれていた。
僕が苦笑いすると、リンは満足そうに笑い、
もう一度こちらへ体を寄せてきた。
ホーチミンの夜は、まだ終わりそうになかった。




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