A5マッサージ バンコク

更新日:9月4日

バンコクには、男の欲望を満たす前に、
まず男の生活感を丸裸にしてくる店がある。
その名も、A5マッサージ。
A5。
名前がもう強い。
焼肉屋なら一番うまいやつである。
この名前を見た瞬間、男の脳は勝手にこう解釈する。
「なるほど、最高級ってことね」
いや、まだ入ってもいないのに何を納得しているんだ。
でも仕方ない。
A5なんて付いていたら、こっちは勝手に期待する。
どうせなら一番いいものを選びたい。
どうせならハズレなしであってほしい。
どうせなら俺も、その空間に見合う男でありたい。
この最後の一文が、今回のテンパり地獄の入口だった。
場所
店に入る。
若い。とにかく若い。
見た感じ25歳前後。
しかもただ若いだけじゃない。
きれい系が多い。
ここで言う“きれい系”とは、
派手に露出して「どうだ!」と殴ってくるタイプではないよ。
むしろ逆。整っている。清潔感がある。
顔も服も雰囲気も、全部が「ちゃんとしている」。
この瞬間、俺の中で何かが始まる。
欲望ではない。
身だしなみ監査である。
案内された部屋を見て、さらに追い打ち。
各部屋にシャワーが付いている。
部屋がちゃんとしている。
シャワーもちゃんとしている。
清潔。整頓。無駄がない。
やばい。
きれいな子の前に出る前に、
俺の“普段の雑さ”が全部バレる気がする。
コースは60分1900THBにした。
40分1700THBだと、こっちの心の準備が間に合わない。
90分2900THBはちょっと本気すぎる。
3Pもあるらしいが、そんなものはもう別ジャンルだ。
俺はいま、まず一人分の自分を整えるので精一杯である。
そしてシャワーへ。
ここから、俺は壊れた。
まず普通に洗う。ここまではいい。
でも、途中で気になる。
ちゃんと洗えているか?
いや、待て。
首の後ろ、さっき流したっけ?
耳の裏は?背中は?
足の指の間、見落としてないか?
なぜか二周目に入る。
シャンプーまで丁寧になる。
普段は“泡立ったらOK”くらいのテンションなのに、この日は違う。二度洗い。
しかもコンディショナーまで妙に長い。
俺は何を目指しているのか。
いまから会うのは美容師じゃない。
なんかすべてがちゃんとしすぎていて焦りすぎている俺。
そして、鏡を見る。
……俺、思ったより疲れているな。
ここで一気に現実が来る。
目の下、うっすらクマ。
肩、ちょっと丸い。
腹、ゼロではない。
しかも髪を濡らしたことで、余計に“素材の俺”が出る。
やめろ。
これ以上、A5空間で素材の俺を見せるな。
タオルの使い方まで気になってくる。
これ、頭から拭いていいのか?
先に体?
タオルの置き方、雑じゃない方がいい?
なんで俺は夜遊びに来て、ホテル研修みたいな気分になっているんだ。
うぉぉぉぉ!!!
落ち着け、俺!!
そして女の子が来る。
やっぱりきれいだ。
若い。肌も明るい。表情も柔らかい。
ここで俺、初めて気づく。
A5って、店名じゃなかったのかもしれない。
“こっちが値踏みされる空間”の名前だったのではないか。
向こうはたぶん何も思っていない。
普通に接してくれる。
でもその“普通”が刺さる。
「シャワー大丈夫だった?」
「ゆっくりでいいよ」
「リラックスしてね」
優しい。優しいんだけど、その優しさが全部
“あ、俺いま緊張してるのバレてるんだ”
になぜか変換される。
やめてくれ。
そんなに穏やかに見ないでくれ。
こっちはさっきから、清潔感という名の見えない試験に追い込まれているんだ。
サービスが始まる。
ここはちゃんとしている。
流れもきれい。雑じゃない。
若い子って、かわいい代わりにちょっと勢い任せだったりすることもあるけど、
A5はそのへんも含めてちゃんとしていた。
なのに、俺の脳内ではずっと別の戦いが続いている。
いま汗かいてないか?
顔テカってないか?
腹、変な角度で出てないか?
口、大丈夫か?
姿勢、変じゃないか?
この照明の下の俺、A5にふさわしい感じになっているか?
何を言っているんだ俺は
ここは焼肉屋ではない。
俺は霜降り判定を受けに来たわけでもない。
でも、若くてきれいな子と、整った部屋と、シャワー付きという環境が揃った瞬間、
男は勝手にテンパってこう思ってしまう。
「ちゃんとしてないと失礼では?」
この“ちゃんとしてないと”が今回のトラブルだった。
俺は遊びに来たはずなのに、気づけばずっと
「俺って清潔感ある?」
の確認作業をしていた。
しかも悲しいことに、
そうやって自分の雑さを気にし始めた時点で、
たぶん一番ダサい
結果から言うと、めちゃくちゃ良かった。
ちゃんと満足した。サービスそのものに文句はない。
むしろ「A5」の名前に対して、きちんと期待に応えてくるタイプの店だと思う。
ただ、終わって部屋を出る時、
俺の中に残っていた感情は興奮だけじゃなかった。
見栄である。
俺、最初から最後まで
「この空間に見合う男でいたい」
っていう、しょうもない見栄と戦っていた。
なんで俺、こんなに見栄を張ってテンパっていたんだ…
A5だったのは、店でも女の子でもない。
俺の見栄だけが、無駄に高級だった。
そして帰り道、ふと思った。
A5って、最高ランクの意味じゃなかったのかもしれない。
あれはたぶん、
こっちの自信が焼かれる温度のことだった。

【基本情報】
店名:A5マッサージ
エリア:上記に詳細地図あり
料金目安:40分 1700THB / 60分 1900THB / 90分 2900THB
特徴:若い子が多く、きれい系が多め。各部屋にシャワー付き。3Pも可能(倍額)


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【編集部より】
夜の話ばかり載せているサイトですが、編集部の三好は同じ街で商談もしています。
出張中の出来事を4話完結の小説にしたものを、noteに置いています。




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