YOJUNG SPA ダナン

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ベトナム中部のリゾート都市、ダナン。
青い海が広がるミーケービーチ、美しい夜景、そして観光客でにぎわう街並み。
昼間はビーチでのんびり過ごし、夜は美味しいベトナム料理。
そんな健全な旅行プランを考えていた俺だが、
気づけばスマホで男性向けスパを検索していた。
今回向かったのは、ファムヴァンドン通り周辺にある「YOJUNG SPA」。
個室での入浴やあかすり、マッサージを楽しめるという。
しかも、女の子と2人きり。
なるほど。
海で泳いだ疲れを癒やすには最高じゃないか。
ちなみに今日は海で泳いでいない。
疲れの原因は、完全に俺の妄想である。
場所
受付を済ませて個室へ向かうと、
そこにはジャグジーとマッサージ用の設備。
なかなかいい雰囲気だ。
ほどなくして現れたのは、笑顔がかわいい小柄な女の子。
すらっとした脚に、女性らしい柔らかな曲線。
しかも人懐っこく、最初からよく笑う。
いいねえ。
笑顔のかわいい女の子は、それだけで男の警戒心を破壊する。
俺なんて、もう全部壊れている。
「シャワー、オーケー?」
「オーケー!」
元気よく返事をすると、
まずは身体を洗ってもらうことに。
温かいお湯が背中を流れ、
女の子の柔らかな手が肩から腕へと滑っていく。
おお……。
これはいい!
自分で身体を洗えば5分で終わる作業も、
かわいい女の子にやってもらうと不思議なほどありがたい。
人間とは、つくづく都合のいい生き物だ。
続いてあかすり。
女の子が専用のミットを手にはめ、
背中をゴシゴシとこすり始めた。
思っていたより本格的だ。
「痛くない?」
「全然! もっと強くても大丈夫!」
男として、ここは余裕を見せたい。
ところが、彼女が身体の向きを変え、
脇腹の少し下をこすった瞬間だった。
「ひゃんっ!」
……。
変な声が出た。
自分でも驚いた。
今の、俺?
女の子の手が止まる。
そして俺の顔を見た次の瞬間。
「アハハハハ!」
大爆笑。
いや、待ってくれ。
俺だって好きで出したわけじゃない。
たまたまミットが、くすぐったいツボに
ピンポイントで入っただけだ。
「もう一回?」
「ノー! ノー!」
「ここ?」
「そこはやめて!」
彼女は笑いながら手を止めてくれた。
助かった。
しかし、俺の威厳はまったく助かっていない。
さっきまで余裕たっぷりだった男が、
あかすりミットひとつに敗北したのである。
しかも、女の子はまだ笑っている。
「かわいい声!」
やめろ。
それだけは言わないでくれ。
俺はかわいいと言われるために、
ダナンまで来たんじゃない。
せめてセクシーと言ってほしかった。
気を取り直して、ジャグジーへ移動。
温かいお湯に身体を沈めると、
女の子もすぐそばに座ってくれた。
おお!
今度こそ、いい雰囲気じゃないか。
さっきの悲鳴は忘れよう。
俺はもう一度、大人の余裕を取り戻すことにした。
彼女が近づいてくる。
泡の向こうに見える笑顔。
自然と俺も顔を近づけ、少し目を細める。
映画のワンシーンのように。
ところが、彼女が突然吹き出した。
「アハハ! 顔!」
……顔?
何かおかしいか?
女の子が鏡を指さす。
見ると、俺の鼻の下には見事な泡のヒゲ。
しかも顎にも泡がたっぷり。
さっきまで色男を気取っていた俺は、
完全に泡だらけの仙人になっていた。
おいおい!
せっかくのロマンチックな場面を返せ!
慌てて泡を落とすと、
彼女がまだ笑いながら顔を近づけてきた。
そして俺の鼻先に残っていた泡を、そっと取ってくれる。
……。
なんだよ。
急に優しくするなよ。
さっきまで笑っていたくせに、
そんな顔で見つめられたらドキドキするじゃないか。
この女の子、なかなか手ごわい。
その後も、湯船の中で肩を揉んでもらったり、
背中を流してもらったり。
さっきまでのドタバタとは違い、
今度はしっとりした時間が流れる。
彼女が少し身体を寄せてくる。
ち、近い。
実に近い。
この距離になると、お湯が温かいのか、
俺が熱くなっているのか分からなくなってくる。
「リラックスしてね」
優しい声。
うん。
リラックスしたい。
心からそう思っている。
だが、身体の一部だけは完全に逆方向へ走り始めていた。
おい、息子!
お前は今、温泉旅行に来ているんじゃないぞ!
女の子はそんな俺を見て、いたずらっぽく笑う。
「元気ね!」
……。
バレた。
しかも今度は、さっきのように
笑って逃げることもできない。
こちらの下心が全部お見通しなのである。
やがて入浴を終え、ベッドへ移動。
ここからは落ち着いた照明の中、
ゆっくりとマッサージ。
彼女は先ほどまでのいたずら好きな顔から
一転、優しい表情になっていた。
耳元で囁かれ、柔らかな手に身を任せる。
一気にエロが来た。
……もう、好きにしてくれー!
女の子の優しさと、
俺の息子の働きぶりによって、無事にフィニッシュ。
いやあ。
最高だった。
途中、どうなることかと思ったが、終わりよければすべてよし。
あかすりで変な声を出したことも、
ジャグジーで泡の仙人になったことも、
もうどうでもいい。
今の俺は、すっかり満足した男だ。
しばらく余韻に浸っていると、
女の子がニコニコしながら話しかけてきた。
「楽しかった?」
「もちろん! 最高だったよ!」
彼女も嬉しそうに笑う。
そして俺の顔をじっと見つめ、こう言った。
「また来てね!」
「また、あの声が聞きたいから!」
ん……。
あの声?
俺は少し考えた。
思わず漏れてしまった、
あの男らしい吐息のことか。
どうやら俺の声は、
女の子の記憶にも残っていたらしい。
リップサービスは大事だよな。
俺は少し格好つけて、低い声で囁いてみた。
「……ああ」
すると彼女が首をかしげる。
「違う、違う!」
……え?
違うの?
彼女は一瞬考えてから、
突然、仕事を終えた俺の息子を咥えてきた。
「ひゃんっ!」
……。
おい。
息子が敏感な時に咥えるのは反則だろ!
女の子は思い出し笑いをしながら、もう一度。
「ひゃんっ! アハハハ!」
やめろ!
再現度が高すぎる!
しかも、さっきの俺よりかわいいじゃないか!
彼女は笑いながら
「次も聞かせてね!」
と手を振ってくれた。
YOJUNG SPA。
あかすりも、ジャグジーも、マッサージも、すべて最高だった。
女の子との距離も縮まり、
男としてもしっかり満足できた。
俺はあの子に、もう一度会いたいと思っている。
あの子も俺の、もう一度聞きたい声があるらしい。
嬉しいじゃないか。
普通なら。
「ひゃんっ!」なしなら…。



![心にもないこと [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_d3060c1ed1f0478088d432f383700717~mv2.png/v1/fill/w_980,h_653,al_c,q_90,usm_0.66_1.00_0.01,enc_avif,quality_auto/37d521_d3060c1ed1f0478088d432f383700717~mv2.png)
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