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Poseidon Spa ジャカルタ

執筆者の写真: GENPASS 編集 八田
GENPASS 編集 八田
3 日前
読了時間: 4分

更新日:3 日前

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ジャカルタの夜遊びで、たまに困ることがある。

言葉が通じない。

値段を聞き間違える。

サービス内容を勘違いする。

まあ、そのくらいなら何とかなる。


今回、Poseidon Spaで起きたのは

もっと基本的な問題だった。

俺の名前が、俺のものではなくなった。



場所



受付を済ませ、女性と部屋へ。

ここでは彼女をMiaとしておく。

派手すぎない顔立ちに、柔らかい笑い方。

近くで見るとかなり可愛い。

いいじゃないか。


まずは軽く会話をしていると、Miaが聞いてきた。

「Name?」

名前。

もちろん答えた。

ここで本名を書くほど、

俺も人生を捨ててはいないので伏せる。

ただし、店ではちゃんと本当の名前を伝えた。


Miaは少し考えた。

「Ken?」

違う。


もう一度伝える。

ゆっくり。

一文字ずつ。

彼女は真剣な顔で聞いている。

そして、


「……Ken?」

だから違うって。


三回目。

もう一度。

するとMiaの顔が明るくなった。


「Ken!」


なぜか今度は自信満々。

その顔を見て、俺は諦めた。

「……Yes」

この瞬間、俺はKenになった。


まあいい。

今夜だけだ。

戸籍が変わるわけでもない。

そう思っていた。



マッサージが始まる。

Miaは見た目より

しっかり力を入れるタイプだった。

背中。

腰。

脚。


「Strong?」

「Yes」

少し強くなる。

ちょうどいい。


しばらくすると、俺が何も言わなくても

同じ強さで続けてくれる。

ちゃんと覚えている。

さらに、腰のあたりで俺の反応が良かったのか、

その場所は少し長め。


お!

いいじゃないか!


こっちの好みをちゃんと見ている。

すると、

「Ken, good?」

「Yes」


……。

好みは覚えている。

名前だけ覚えていない。


なぜそこだけ落とす。

それでも距離が近くなってくると、

名前なんてどうでもよくなってくる。

髪が肩に触れる。

甘い香りが近づく。

指先が身体をゆっくり滑る。


胸元が触れそうな距離まで近づき、

吐息が首筋にかかる。

さっきまでの「Ken問題」は

一旦どうでもよくなった。

普通にエロい。

かなりいい。


俺は盛り上げようと彼女を見て言った。

「Cute」

Miaは即答。

「No!」


え?


じゃあ、

「Beautiful」

「No!」

「Sexy」

「No!」


全部否定する。


褒めているんだから、

一個くらい受け取れ。

俺が笑うと、今度はMiaが俺を見て、

「Ken, handsome」

と言った。


お。

それは嬉しい。

素直に嬉しい。

ただし、

宛名が違う。


俺が彼女につけた

「Cute」「Beautiful」「Sexy」は

全部却下するくせに、

俺につけた「Ken」だけは絶対に撤回しない。

この女の審査基準が分からない。


その後、大人のサービスへ進む。

さっきまで背中を押していた手が、

今度は明らかに違う目的で動き始める。


距離がさらに縮まる。

肌の熱。

柔らかさ。

近くで見る表情まで、さっきとは違う。

Miaは俺の反応を確かめるように目を合わせながら、

ゆっくりペースを変えてくる。


「Ken, good?」

「Yes……」

まただ。

でも、もう訂正する余裕がない。

気持ちいい時に名前の訂正なんて

していられない。


しばらくして、

「Ken?」

「Yes」

反射で答えた。


……待て。

今、俺普通に返事したぞ。


最初は毎回「違う」と思っていた。

それが今では、

「Ken!」

「Yes!」

完全に成立している。

名前を受け入れたわけじゃない。

ただただ、

訂正する体力がなくなっていた。


人間、裸で何度も同じ名前を呼ばれると弱い。

そこからさらに攻められる。

手の速度が変わる。

目が合う。

笑う。

また身体が近づく。


もうKenでも何でもいい。

今だけは好きに呼んでくれ。


そして最後は、

そのまま気持ちよくフィニッシュ。


息を整えていると、

Miaが満足そうに俺を見た。

「Good, Ken?」

「Very good……」

最高だった。

そこは認める。


ただ最後まで

名前は違った。



少しして、今度はMiaが自分を指差した。

「Beautiful?」

来た!

さっき俺が何を言っても否定した女が、

今度は自分から聞いてきた。

コイツ、仕事から解放されてじっくり楽しもうというのか。


でも、これはチャンスだ。

俺は少し考えて言った。


「Normal」


Miaの顔が変わった。

「NO!」

即答。


そこは訂正するんかい!


CuteもBeautifulもSexyも否定したくせに、

Normalだけは全力で拒否。

面倒くさい…。

でも可愛い。


帰る準備をして、心残りだったので

最後にもう一度だけ本当の名前を伝えた。

念のため。

これが最後のチャンスだ。


Miaは、

「ああ!」

という顔をした。

分かったらしい。


よし!


俺も最後に少し仕返しをすることにした。

彼女の名前を、わざと一文字違いで呼ぶ。

「Thank you, Maya」

すると、


「No! Mia!」

お前は訂正するんかい!


しかも速い。

俺の名前は三回説明してもKenだったのに、

自分の名前は一文字の間違いも許さない。

なんだその厳格な運用。


そして帰り。

Miaが笑顔で手を振った。

「Bye bye, Ken!」


……。

一体、何を理解したんだ。


もういい。

俺も手を振った。

「Bye」



Poseidon Spa。

彼女は俺の好みを覚えて対応してくれた。

力加減も気持ちいい場所もすぐに覚えた。

俺の反応まで、ちゃんと覚えた。

覚えなかったのは、

名前だけだった。


ジャカルタで失ったもの。

金。

体力。

そして――


本名…。 



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