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Grand MTR ジャカルタ

  • 執筆者の写真: GENPASS 編集 八田
    GENPASS 編集 八田
  • 4 日前
  • 読了時間: 5分


ジャカルタの夜は、たまに男の判断力を“店に入る前”から壊しにくる。

この日の俺がまさにそうだった。

すでに別の場所で軽く飲んでいた。

いや、軽くという言い方は少し嘘だ。

「今日はまだ全然いける」と自分に言い聞かせている時点で、だいたい人はもう少し先に進んでいる。


その状態のまま、コタインダーの中にある Grand MTR に流れ着いた。

名前からして強い。

“Grand”である。

ただのマッサージ店ではなく、箱のデカさと夜のノリで押してくるタイプの名前だ。

しかもここ、普通の店じゃない。

バー、クラブ、マッサージ、置屋。

その全部が中途半端じゃなく、雑に一体化している。

ジャカルタの夜が「もう分けるの面倒だから一回まとめよう」と決断した結果みたいな店である。



場所



早速、店の中に入る。

暗い。

うるさい。

照明が忙しい。

セクシーダンスショーの余熱。

ビールの匂い。

そして、フロアにいる女の子たち。


この時点で、男の脳は終わる。

普通の店ならまだいい。

明るい部屋で見て、座って、選ぶ。

でもGrand MTRは違う。

最初から全部が“夜のノリ”の中にある。

つまり、冷静な判断をする環境がどこにもない。


しかもビールが安い。

65,000ルピア。

おいおい、そんな値段で置くな。

この空間でその価格は、理性に対する営業妨害である。

「とりあえず一本」

人はこの言葉で、たいてい余計なことを始める。

で、一本飲む。

音が少し心地よくなる。

照明が少しドラマチックに見える。

女の子たちも、ちょっと良く見える。

いや、かなり良く見える。

正確に言うと、空間全体が女の子を盛ってくる。


危ない!!


ここでママが来る。

あっせんが始まる。

でも、ここで言うあっせんは、普通の「この子どう?」ではない。

もっとこう、クラブのテンションで押してくる。


「この子かわいい」

「この子いい」

「この子おすすめ」

「座って、飲んで、見て」

早い。判断が早い。

こっちはもう少し検討したいのに、空気の流れが完全に

“今ここで盛り上がっているんだから決めようよ!”

の方向で進んでいく。

しかも俺はすでに酔っている。

そしてさらにビールを追加する。

なぜなら安いから。

安いという理由で判断力を失っていくの、かなり情けない。


危ない!!!!


二本目が入る。

ママの声も心地いい。

DJの音も悪くない。

フロアの照明も、なんか全部「今夜はいける」と言ってくる。

女の子たちの顔も、輪郭も、笑い方も、全部が夜の中でちょうどよく見える。

そこで一人の子に目が止まった。


いや、正直に言おう。

“目が止まった”というより、

酒と照明とママの勢いに背中を押されて、その子に着地した。


「この子でいく?」

ママが言う。

俺も言う。

「うん、この子で」


言った瞬間は、ちゃんと自分で選んだ気がしていた。

でも今思えば、あれは俺の意思ではない。

フロアの総合演出が選んだのである。


料金は 400,000ルピア

この時点でもう、数字の意味はあまり考えていない。

下半身とアルコールの共同作業で、夜はどんどん雑になっていく。

そして上の階へ。

ここが、地獄の入口だった。

下のフロアは暗い。

うるさい。

全部がノリ。

全部が補正。


でも上の階は違う。

思いのほか静か。

下より明るい。

急に壁が壁として機能している。

1階の魔法が全部切れて、急に“人を人として見る空間”になる。

そこで、女の子が部屋に入ってきた。

俺は心の中で叫んだ。


えっ、誰!?


いや、違う。

嫌な意味じゃない。

そうじゃない。

でも、本当に一瞬そうなる。

見知らぬ人が立っているという恐怖に近い。

下で見た時の印象と、あまりにも違う。

顔立ちも、身長の印象も、立ち方も、全部が少しずつ違う。


ホントに俺、選んだ子!?


いや、同じ人のはずなんだ。

同じ人のはずなのに、下で見た“完成版”が脳に残りすぎていて、

明るい部屋の現実と、まったく一致しない。

そこで急に酔いが引いた。


ああ、そうか。

俺、女の子を選んだんじゃない。

あのフロアの補正を選んでいたんだ。


コタインダーの夜。

Grand MTRの音。

ママのあっせん。

ビール。

暗い照明。

それ全部が合わさって、一人の女の子を

“今すぐ決めたくなる存在” に仕上げていた。

つまり俺が連れ出したのは、この子じゃない。


あの空間そのものだった。


でも、こういう時に人は意外と順応が早い。

数分後には「まあ、そういうもんか」と思い始める。

自分の判断ミスを認める代わりに、空間補正のせいにする。

そして実際、それはかなり正しい。

この店のフロア補正は、本当に強い。

サービス自体は普通に悪くなかった。

というか、すごく気持ちよかったです、はい。


だから余計におもしろい。

下で見た印象と違う。

でもハズレという話ではない。

ただ、俺の判断が“女の子単体”じゃなく“雰囲気込み”だった というだけなのだ。


でも、この違いはでかい。

もし明るい店で最初に見ていたら、たぶん選ばなかったかもしれない。

でもGrand MTRのフロアでは、あれが正解に見えた。


酒を飲み、音に乗り、ママに煽られ、照明に盛られた結果、

俺の中ではあの子が最適解だった。


でも、怖い!


人の判断なんて、こんなもんである。

つまりGrand MTRで選んだのは、女の子じゃない。


あのフロアの雰囲気だった。


そして、俺が 400,000ルピア で買ったのは、女の子じゃない。


酒と照明で盛られた判断だった。



基本情報 /  Grand MTR

形式:バー/クラブ/マッサージ複合型

料金目安:女の子 400,000ルピア前後、ビール 65,000ルピア前後

特徴:クラブみたいなフロアで女の子を選び、上の階へ行くタイプ

注意点:飲んでから行くと、選んでいるのが女の子なのか空間なのか分からなくなる


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