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![夜明けまで強がらなくていい [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_3b7fb9ebbfb4473387108a8038986240~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_3b7fb9ebbfb4473387108a8038986240~mv2.webp)
![夜明けまで強がらなくていい [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_3b7fb9ebbfb4473387108a8038986240~mv2.png/v1/fill/w_292,h_219,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_3b7fb9ebbfb4473387108a8038986240~mv2.webp)
夜明けまで強がらなくていい [第3話]
【第3話】 翡翠の鎧 「暇?」 三文字だった。 時刻は午前十一時。 ホテルのロビーでコーヒーを飲んでいた俺のスマホに、ゴックからLINEが届いた。 「暇じゃないけど、暇にできる」 そう返すと、十五分後にホテルの前にゴックが現れた。 ノースリーブのロングワンピース、サングラス、小さなショルダーバッグ。 昨日と一昨日の格好より、今日は少し軽い。 「案内してあげる」と言った。 「どこへ?」 「タイ湖。行ったことある?」 「ない」 「何度もハノイに来てるのに?」 「仕事で来ていたから」 ゴックはサングラスの奥で目を細めた。 「……もったいない」と呟いた。 責めているわけではなかった。 ただ、わずかに惜しそうだった。 先に昼を食べようとゴックが言った。 連れて行かれたのは旧市街の路地にある屋台だった。 Bánh mì Hùng。 石畳の路上に三テーブルだけ並んでいて、厨房は窓口のようなカウンターだけだ。 バイクが通るたびに排気ガスが混じるような場所だった。 「ここ、観光客は絶対来ない場所じゃないですか」 「だから連れてきた」 「なんで俺を?」 「……べつに

GENPASS 編集 三好
7月12日
![夜明けまで強がらなくていい [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_f243a2de85e14fd59ceeb273d2686f9e~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_f243a2de85e14fd59ceeb273d2686f9e~mv2.webp)
![夜明けまで強がらなくていい [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_f243a2de85e14fd59ceeb273d2686f9e~mv2.png/v1/fill/w_292,h_219,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_f243a2de85e14fd59ceeb273d2686f9e~mv2.webp)
夜明けまで強がらなくていい [第2話]
【第2話】 腹、減ってますよね 翌日の午後、俺は旧市街を歩いていた。 午前中のVinFastとの継続打ち合わせが終わって、 ホテルに戻るより先にホアンキエム湖の周りを一周したくなった。 ハノイに来るたびにそうする。理由はない。 ただ、この都市はバイクの波に押し込まれながら歩くのが一番落ち着く。 カフェの前に、見覚えのある脚があった。 ゴックだった。 白いワンピースに、黒いパンプス。 昨日より少し明るい格好だ。 その前に、スーツを着た欧米系の男が立っていた。 五十代半ば、体格がいい、腕時計が光っている。 男がゴックの腕を掴もうとした。 ゴックは一歩引いた。 それだけだった。 俺は止まった。 介入はしなかった。 する必要があるとは思えなかった。 男がまた何か言う。 ゴックは動じない。 完璧に動じていない。 低い声で何かを言った。 男がわずかに後退した。 もう一言、ゴックが言った。 男は去った。 ゴックは男が去った方向を一瞬だけ見ていた。 それから振り返った。 目が合った。 「……見てたの?」 「見てた」 「助けなかった?」 「必要なさそうだったから」

GENPASS 編集 三好
7月11日
![夜明けまで強がらなくていい [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_f9a9560407224edd84dae13d9d24afec~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_f9a9560407224edd84dae13d9d24afec~mv2.webp)
![夜明けまで強がらなくていい [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_f9a9560407224edd84dae13d9d24afec~mv2.png/v1/fill/w_292,h_219,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_f9a9560407224edd84dae13d9d24afec~mv2.webp)
夜明けまで強がらなくていい [第1話/全4話]
【第1話】Vivianと呼べ ハノイには、何度来ても慣れない。 バイクの流れは法則なく交差し、クラクションが重なり、 揚げ油と排気ガスが混じった熱い空気が路面から立ち上る。 六月の午後は、空港を出た瞬間に汗をかく。 それでもこの都市は生きている。 そこが好きで嫌いだ。 タクシーがミーディン地区に入ると、VinFastの新しいビルが見えた。 ベトナム初の国産EVメーカーだ。 一年半前から代理店契約の交渉をしていた。 今回のハノイ出張は、その最終調整だった。 ロビーで待っていたのが、ミン・ティ・ハだった。 「三好さん、ありがとうございます。今日はよろしくお願いします」 黒のパンツスーツ、ショートカット、丁寧に選ばれた笑顔。三十二歳。 VinFastのキーアカウントマネージャーで、商談相手としてはとても優秀だったが、この日の議題は少し難しかった。 EVバッテリーの保証範囲をめぐる条件で、先方の法務部門が難色を示していた。 「欧米向けの基準を日本市場に適用することは困難だ」という主張で、 ミンが通訳しながら双方の顔色をうかがっていた。 議論が煮詰まってき

GENPASS 編集 三好
7月10日
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