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![ファンじゃない男 [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_4cef2c7927f946e58d68dc16409cb578~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_4cef2c7927f946e58d68dc16409cb578~mv2.webp)
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ファンじゃない男 [第3話]
【第3話】Bar Leoneの後、香港の雨 Bar Leoneは、Arbuthnot Roadの路地の中にある。 看板は小さく、扉は重い。 知らなければ通り過ぎる。 入るとイタリアのバーを思わせる木のカウンターが目に入った。 照明は低く落とされて、客の声が丁度いい音量で混ざり合っている。 ここのバーテンダー、Andrea Piroloが作るネグローニは、ワールドベストバー50に選ばれた理由になる一杯だ。HK$128。 氷が一つ。グラスの中で橙色の液体がゆれている。 柑橘とビターの香りが鼻を抜けて、後味にジンの余韻が残る。 一口で、この店に来た意味が腹落ちする。 ナナはAperolベースのカクテルを頼んだ。 「バー、好きなんですか」とナナが聞いた。 「出張中は毎晩飲みます」 「一人で?」 「たいていは」 「それって寂しくないですか」 「今夜は一人じゃないですよ」と俺は言った。 ナナが俺を少し見た。返事はしなかった。 その代わりに、グラスに口をつけた。 カクテルをもう一杯頼んだ。 二杯目の途中から、会話が少し減った。 バーという場所の静けさの使い方を

GENPASS 編集 三好
5月3日
![ファンじゃない男 [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_68a3be32c76540aebd83fa9d8114352a~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_68a3be32c76540aebd83fa9d8114352a~mv2.webp)
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ファンじゃない男 [第2話]
【第2話】 Mott32、地下の紅い光の中で 仕事は予定通りに片付いた。 午後は香港島に戻ってホテルで資料整理と電話対応を2件。 夕方には全部終わった。 マンダリン オリエンタルに戻ってシャワーを浴びて、スーツを着た。 このホテルは1963年開業で、英国植民地時代の格式を今も引き継いでいる。 ロビーのスタッフの所作が、他のホテルと少し違う。 積み上げてきた時間がそのまま接客に出ている。 香港に来るたびに同じホテルを指定するのは、慣れた場所の方が余計なことに気を取られなくていいからだ。 一方、ナナが泊まっているのは重慶大廈近くの1泊3500円のゲストハウスだ。 同じ香港の夜にいながら、二人の宿は全然違う。 それは別に問題ではない。 ただ、今夜彼女をどこに連れていくか、という話で考えると、少し面白い構図がある。 重慶大廈は九龍の中でもとりわけ雑多な場所で、世界中のバックパッカーが集まる。 そこからMTRで20分、中環のMott32へ。この落差が今夜の香港を作る。 19時に、ナナは来た。 着替えていた。細身のネイビーのワンピース。 ヒールはない。でも背

GENPASS 編集 三好
5月2日
![ファンじゃない男 [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_b9d6e9f53f404ea98b1f10079bb34ec9~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_b9d6e9f53f404ea98b1f10079bb34ec9~mv2.webp)
![ファンじゃない男 [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_b9d6e9f53f404ea98b1f10079bb34ec9~mv2.png/v1/fill/w_292,h_219,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_b9d6e9f53f404ea98b1f10079bb34ec9~mv2.webp)
ファンじゃない男 [第1話/全4話]
【第1話】 Mido Cafe、テンプル・ストリートの端で 油麻地の打ち合わせが14時に終わった。 九龍側に仕事が入ることは珍しい。 今回は現地のサプライヤーが油麻地に事務所を構えていた。 一棟丸ごと古い雑居ビルで、エレベーターが2基しかなく、どちらも遅い。 打ち合わせ自体は問題なく進んで、2時間で片付いた。 外に出ると、テンプル・ストリートに人が出始めていた。 昼と夜のあいだの時間帯で、屋台はまだ準備中、ローカルの人間が歩道を行き来している。 この街の体温が、そのままアスファルトに滲み出ているような感覚がある。 香港島のビジネス街とは別の空気だ。 こちらの方が、どこか本物に近い気がするのは、年齢のせいかもしれない。 Mido Cafeに向かったのは、腹が空いていたのと、あそこの港式奶茶が飲みたかったからだ。 1950年創業の老舗茶餐廳で、テンプル・ストリートの端に何十年も変わらない顔で建っている。 タイル張りの内装、古い明朝体の看板、天井の古いファン。 時間が止まっているように見えて、その止まり方が心地よい。 香港映画のロケ地にもなった場所で、

GENPASS 編集 三好
5月1日
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