top of page
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_8dfea1d39ef14d7784de64faf07f3500~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_8dfea1d39ef14d7784de64faf07f3500~mv2.webp)
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_8dfea1d39ef14d7784de64faf07f3500~mv2.png/v1/fill/w_292,h_219,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_8dfea1d39ef14d7784de64faf07f3500~mv2.webp)
彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第3話]
第3話 「Hotel Nikko、22階」 Tichucaを出たのは、22時を過ぎたころだった。 エレベーターを降りて、T-ONE BUILDINGのエントランスに出ると、スクンビットの夜気が包んできた。 日本の夏よりも、少しだけ重たい空気だ。 湿度が肌に張り付く感じがある。 それでも不快というほどではない。 バンコクの夜の空気には、独特の緩さがある。 東京の夜にはないものだ。 「どっちに帰りますか」とユイが言った。 「Hotel Nikkoの方向です」 「私も、そっちです」 並んで歩き始めた。会話はなかった。 スクンビット通りの喧騒が、二人の沈黙を埋めていた。 バイクタクシーのエンジン音。屋台の油の匂い。 呼び込みの声。タイ語と英語が混ざった音が、夜道に流れていた。 バンコクの夜は、音と匂いで出来ている。 それに慣れてくると、東京の静けさが物足りなくなる。 4回目でもそう感じるんだから、長く住んだらどうなるかわからない。 ユイは横を歩きながら、あまり周囲を見ていなかった。 下を向いているわけではなく、ただ視線が内側に向いていた。...

GENPASS 編集 三好
4 日前
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_1e2cd95454b6455b882cdce5eb8cc6df~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_1e2cd95454b6455b882cdce5eb8cc6df~mv2.webp)
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_1e2cd95454b6455b882cdce5eb8cc6df~mv2.png/v1/fill/w_292,h_219,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_1e2cd95454b6455b882cdce5eb8cc6df~mv2.webp)
彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第2話]
第2話 「Tichuca、46階」 エレベーターを降りると、視界が一気に広がった。 Tichuca Rooftop Bar。 46階のオープンエア。スクンビットの夜景が、360度広がっていた。 BTSの線路が光の帯になって南北に走っている。 バンコクのビル群が、霞みを帯びた夜空の下に広がっていた。 東京の夜景とは質が違う。東京は整然としている。 バンコクは、整然とした部分と雑然とした部分が混在していて、その境目が夜になるとわからなくなる。 ライトアップされたビルの隙間に、薄暗い路地が続いている。 その対比が、バンコクの夜を面白くしている。 席に案内された。テラス席の端。二人掛けのテーブルだった。 「どうぞ」と俺が言うと、吉田ユイは少し迷ってから座った。 一人で来る予定だったんだろう。 それが、エントランスで俺と鉢合わせた。 その状況を、彼女はまだ整理できていない。 そういう顔をしていた。でも断ろうとはしていなかった。 ひとりで夜景の前でグラスを持つよりも、見知らぬ日本人と並ぶ方を選んだ。 それが何を意味するかは、まだわからない。 メニューを開いた

GENPASS 編集 三好
5 日前
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_de2802860cfe40b0b54d87e47350e5e8~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_de2802860cfe40b0b54d87e47350e5e8~mv2.webp)
![彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第1話/全4話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_de2802860cfe40b0b54d87e47350e5e8~mv2.png/v1/fill/w_292,h_219,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_de2802860cfe40b0b54d87e47350e5e8~mv2.webp)
彼女が辞めた理由を、俺は聞かなかった [第1話/全4話]
第1話 「T-ONEのセキュリティ」 バンコクに来るのは、これで4回目だった。 スクンビットはいつも人が多い。 BTS沿いのこのエリアは、昼も夜も温度が変わらない。 喧噪は変わらない。変わるのは、やって来る人間の顔つきくらいだ。 昼は働いている顔。夜は何かを求めている顔。 その境界が、バンコクでは特に曖昧に見える。 夜になっても昼の顔をしている人間がいる。 昼のうちから夜の顔をしている人間もいる。 そのへんが、東京とは根本的に違う。 東京は昼と夜の切り替えが明確で、どちらの顔をすべきか、誰もが心得ている。 バンコクはそのルールがゆるい。 それが、この街を面白くしていると同時に、危うくもしている。 ホテルはスクンビット通り沿いのHotel Nikko Bangkokにした。 去年の出張で初めて使ってみて、悪くなかった。 ロビーの作りが日系ビジネスホテルにしては広い。 スタッフの対応が丁寧で、立地がBTSアソーク駅から徒歩圏内。 商談の前日に着いて、翌朝から動ける。 そういう使い方にちょうどいいホテルだ。 チェックインを済ませると、部屋は22階だった

GENPASS 編集 三好
6 日前
bottom of page
