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![大嫌いなはずだったのに [最終話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_4543ab7fe80e44d392db0fdbe49a95c5~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_4543ab7fe80e44d392db0fdbe49a95c5~mv2.webp)
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大嫌いなはずだったのに [最終話]
【最終話】 大嫌いなはずだったのに 帰国してから、3週間後に次の上海出張が入った。 NIOとの交渉は継続中で、修正した提案書を持っての再訪だった。 他にも2社、別の案件でアポが入っていた。 出張の理由は十分にあった。 スケジュールを確認したとき、リンに連絡するかどうかを考えた。 10秒考えて、連絡した。返事はすぐ来た。 「知ってました。また来ると思っていました」とリンは書いた。 俺は「なぜ」と返した。 「三好さんは、やり残したことを放置しない人だから」と来た。 仕事の話なのか、それ以外の話なのか、聞かなかった。 上海に向かう飛行機の中で、その言葉を反芻した。 やり残したこと。仕事ならそうかもしれない。 ただ、今回の出張の準備を始めたとき、最初に頭に浮かんだのは次の商談ではなかった。 2回目の上海は、最初とは違う空気だった。 商談でリンと向かい合っても、同じ人間だとは思えなかった。 交渉のテーブルでは鋭く、容赦がない。 俺の提案を数字で切る。 そのやり方は変わらなかった。 ただ、会議が終わった後の顔を、俺は知っていた。 その顔を知っていることが、商

GENPASS 編集 三好
7 日前
![大嫌いなはずだったのに [第3話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_d65ea4ee805940f7b9357a9becfa5942~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_d65ea4ee805940f7b9357a9becfa5942~mv2.webp)
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大嫌いなはずだったのに [第3話]
【第3話】 ペニンシュラの、夜が長かった The Peninsulaのバーは静かだった。 1929年建設のホテルは、上海でも数少ない「歴史を持つ建物」だ。 植民地時代の名残がある外灘に建ち、高い天井と大理石の柱が当時のままだ。 バーのカウンターに座って飲んでいると、今が何年かが分からなくなる。 俺はウイスキーを頼んだ。リンはジンを頼んだ。 バーテンダーは何も聞かなかった。 グラスを二つ出して、氷を入れた。 この店では客が喋る必要がない。 席に座ること自体が、言葉の代わりになる。 そういうバーだった。 しばらく、何も話さなかった。 沈黙が重くなかった。 重くない沈黙が成立するには、条件がある。 お互いが相手のそばにいることに慣れていること。 48時間前に初めて会った相手とこの空気になるのは、珍しいことだ。 ただ、商談からここまでを振り返ると、時間の密度が普通ではなかった。 Fu 1088の2時間。Speak Lowの深夜。 Mr & Mrs Bundの夜景。 そのどこかで、距離が縮まっていた。気づかないうちに、縮まっていた。 「今日の商談は、どうで

GENPASS 編集 三好
5月31日
![大嫌いなはずだったのに [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_dba4d68207c74e8495afb12c30627a9d~mv2.png/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_35,blur_30,enc_avif,quality_auto/37d521_dba4d68207c74e8495afb12c30627a9d~mv2.webp)
![大嫌いなはずだったのに [第2話]](https://static.wixstatic.com/media/37d521_dba4d68207c74e8495afb12c30627a9d~mv2.png/v1/fill/w_292,h_219,fp_0.50_0.50,q_95,enc_avif,quality_auto/37d521_dba4d68207c74e8495afb12c30627a9d~mv2.webp)
大嫌いなはずだったのに [第2話]
【第2話】 隠れ家で、別の顔を見た Speak Lowは復興中路の路地にある。 復興中路は夜でも人通りがあった。 プラタナスの並木が上から覆いかぶさって、その間から街灯が落ちている。 リンは迷わなかった。 この街の地図が、彼女の中に入っていた。 表向きは本の並んだポップアップショップだ。 入り口には「Bar」の表示がない。 知らなければ通り過ぎる。 扉を開けて中に入ると、カウンターと棚いっぱいのボトルがある。 日本人バーテンダーの後神慎悟が手がけた店で、ミシュランに名前が載っている。 上海に来る度に立ち寄る人間と、一生知らない人間がいる。 それだけの差がある店だ。 カウンターに並んだ。 「ここ、よく来るんですか」と俺は聞いた。 「月に2、3回。」 「一人で?」 「大体は一人です。」彼女はそう言って、カクテルメニューを見た。 「仕事のあと、静かにしたい夜があって。」 頼んだカクテルは、ジャスミンティーとライムを使ったシグネチャーだった。180元。 一口飲むと、花の香りが先に来て、後からライムの酸みが伸びてくる。甘さが残らない。 上海の夜に、これほど

GENPASS 編集 三好
5月30日
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